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子どもたちの個性が輝く/第52回在日朝鮮学生美術展

2025年10月06日 09:00 文化

神戸でスタート

第52回在日朝鮮学生美術展が始まった

第52回在日朝鮮学生美術展(学美)の地方巡回展が神戸展(9月17~21日)を皮切りにスタートした。巡回展は26年6月まで行われ、次回は14~19日にかけて京都展が京都市美術館別館で開催される(詳細は学美公式HPから)。今回の学美には各地の朝鮮学校から7190点が応募され、3293点が入選、648点が入賞した。高級部最優秀クラブ賞には大阪中高美術部が、中級部最優秀クラブ賞に埼玉初中と九州初中高の美術部が選ばれた。

兵庫県立美術館原田の森ギャラリーで開催された神戸展には会期中、760人の同胞、日本市民たちが訪れた。

西神戸初級の美術講師である李民花さんは学美の特徴について、一般的な「お手本をまねるような技術重視」の審査ではなく、学生たちの自主的な表現に重きを置いていることを挙げる。「その表現を引き出すために権威主義的にならないよう心掛けている」という李さんは「中級部生の作品は、内面的に成長途中だが、背伸びしている感じを躊躇なく出せていることが面白い。一方で中高美術部生の作品は、真っ白なキャンバスと向き合って『自分との闘い』を経て完成したものだ」と語った。

今回、特別金賞に選ばれた作品の一つである「無力」もその一つ。林の木々の幹に人間の顔が5つ描かれ、木漏れ日が中央の顔にかかっている。木々にむした苔は点描画のように一つひとつ繊細に描かれていた。

中央審査委員の朴一南さんは「作家の心象をアウトサイダーの要素を含めながら高い描写力で表現している。全身全霊をかけて努力したことが伝わってくる作品だ」と説明した。

来場者の感想

槇原友紀さん(50)は「繊細で緻密な作品が多い印象だった。細部から子どもたちの遊び心が伝わってほっこりするような作品もあれば環境問題への問題意識を感じとれる作品もあった」とし「子どもたちがどのような考えで作品を作ったのかが興味深く、それを自分なりに考えるのが楽しかった」と語った。

李愛香さん(41)と沈愛実さん(41)は「自分たちの学生時代とは全然違って、子どもたちの個性が発揮されていて好きだ。一方で高級部生の作品からは作者たちの深い考えが伝わってきた」と感想を語り合った。

(高晟州)

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