〈読書エッセー〉晴講雨読・朝鮮気象学史に関する二冊の研究書(下)/任正爀
2025年09月17日 13:21 寄稿朝鮮科学史の研究を始めた頃、古本屋で1958年に淡路書房新社から出版された『東洋人の科学と技術』という本を見つけ、すぐに購入した。というのも、朝鮮に関する5編の論考が含まれていたからである。とくに、そのなかの「李朝学者の地球回転説」は研究を進めるうえで重要な契機となった。その著者が田村専之助で、その後『李朝気象学史研究』が私家版として出版されていることを知った。
その「まえがき」で著者は次のように書いている。
「黎明期の日本気象学界の功労者和田雄治博士が、世界的な李朝気象学の業績を発見し、世に紹介されたが、遺憾なことに、これは其の後深く掘り下げられることもなく、忘れられてしまった。