公式アカウント

〈70年の自負、100年への自信⑨〉朝鮮大学校の文化・芸術クラブはセミプロ集団、芸術の宝庫

2025年08月25日 14:39 寄稿

朝鮮大学校は2026年に創立70周年を迎えます。当欄では、大学が歩んできた道のりや現在の教育内容、活躍している卒業生、70周年に向けた取り組みなどを多角的に紹介します。執筆は朝大の教員、関係者が担当します。(月1回掲載)

朝鮮大学校では現在、9つの文化・芸術クラブが活動している。

1990年代末の結成以後、各地の朝鮮学校生徒たちの間で多大な人気を博する軽音楽団「セナル」。その楽曲は、同胞社会で広く愛され、親しまれている。「ウリハッキョソング」の発信源といっても過言ではない。

一方、朝大芸術の老舗ともいえる民族管弦楽部、吹奏楽部、声楽部は、1977年より毎年「定期演奏会」を開催しており、その演奏レベルの高さには定評がある。毎回、日本各地から観客が駆けつけるほどの反響を呼んでいる。

プンムルノリ民族打楽器部「セマチ」は、同胞たちが集うイベントをはじめ、各地で引っ張りだこの人気ぶりだ。毎年秋に開催される「小平まつり」に出演し、地域交流にも貢献している。

演劇部は、多彩な作品と並ならぬ演技力で観客を魅了している。修学旅行などで朝大を訪れ、演劇を鑑賞した生徒たちは、その圧巻の演技に感嘆の声をそろえている。また、青商会主催の「ウリウリコッポンオリコンサート」や、子どもたちのヒーロ―「ピビンバレンジャー」の舞台に出演するなど、学外においても積極的に活動している。

映像編集部は、各種公演を映像として残す大事な仕事を担っている。近年は、シンポジウムなど学内行事のライブ配信にも対応するなど、活動の幅が広がっている。また、講堂スタッフは、音響や照明など専門技術をもって舞台に立つ者を際立たせ、さらに見応えのある舞台へと仕上げてくれる。

まさに文化・芸術クラブはセミプロ集団であり、朝大は芸術の宝庫といえよう。ここで培った才能を活かし、多くの卒業生が金剛山歌劇団員などトップアーティストとして、また、地域の文化・芸術活動の担い手やウリハッキョの教員として、同胞社会を構成する共通分母としての「民族性」の継承に寄与している。

「心」育む舞踊教育

朝鮮大学校舞踊部の学生たち

最後に、朝大創立当初から活動を続ける舞踊部について述べたい。

舞踊部には現在、61人が所属している。私は今年度より朝大に赴任し、舞踊部の顧問を務めている。部員たちは幼い頃からウリハッキョで朝鮮舞踊に出会い、その魅力に惹かれて踊り続けてきた。楽しさに胸を躍らせ、時には悩みに立ち止まりながらも、一人ひとりが多くの壁を乗り越えてきた。舞踊がいつしか自分のすべてとなり、専門家や教え手となる夢を抱きながら、日々の錬磨に励む学生たちの姿に胸を打たれている。

私自身も朝鮮舞踊とともに成長してきた一人である。祖国の最高峰にて朝鮮舞踊に関する見識と技量を深めながら、その志をさらに高め、舞踊教育の現場に24年間立ち続けてきた。

その過程で常に学生たちに伝えてきたことがある。舞踊は「心」を育む、ということだ。どのような「心持ち」で踊るかによって舞踊の表現は大きく変わる。

誠実な心、真実な心、謙虚な心、感謝する心、友を愛する心、同胞社会を愛する心、祖国を愛する心、民族を愛する心――温かいウリハッキョの中で、さまざまな「心」が育まれている。

「心」を養うことにも努力は不可欠だ。学生たちの「心」の成長ほど教員として喜ばしいことはない。

「代を継いで刻む―民族の心を胸に(이어가자 민족의 대)」――朝大舞踊部が掲げてきたスローガンである。舞踊を学び、育んできた民族の「心」を次世代へと継承していくこと。それは朝大舞踊部員たちの熱い想いであり、責任でもある。

多くの卒業生たちが、その想いを胸に、今も各地のウリハッキョで民族の「心」を真摯に育み続けている。

朝大生は同胞の各種イベントに数多く出演している(写真は総聯結成70周年記念アンサンブル公演「永遠に輝く我が総聯」、5月27日)

朝大舞踊部は、多忙な学業の傍ら舞踊発表会をはじめ、日本体育大学の招待公演や同胞の各種イベントに数多く出演している。今年、2度の大舞台で学生たちは、5年ぶりに実現した祖国訪問の喜びや同胞社会の未来を担う責任感など、さまざまな「心」を表現した。

学生たちは多くの舞台を踏むことで、多くの学びを経験する。そこには真実性が込められている。舞台での顔と日常の姿とが相反するものであってはならない。だからこそ、今、学生たちに引き続き伝えていきたい――舞踊は「心」を育むことだと。その「心」で踊ってこそ真の朝鮮舞踊なのだ。

(金星華・外国語学部助教/舞踊部顧問)

民族の心を伝える音色を/金剛山歌劇団チャンセナプ奏者・崔栄徳さん

崔栄徳さん

「人生においてウリナラとは運命的な重なりを感じている」

金剛山歌劇団のチャンセナプ奏者であり、共和国功勲俳優の崔栄徳さんは振り返る。

1994年1月、金日成主席が観覧した最後の迎春公演で、朝鮮大学校師範教育学部(当時)音楽科1年生だったが特別に招集され演奏した。その年の7月、祖国講習中に主席逝去の報に接した。

2002年2月、咸興市にて、金正日総書記の前で演奏した。その後の宴席で総書記は、同席はかなわなかった崔さんを探し、「才能豊かな人材」と覚えも高かったという。この後、総書記による多額の資金援助を受け、朝大図書館とともに、歌劇団の施設がリニューアルされた。

朝鮮の代表的な民族的音色を授かったかけがえのない祖国の恩師。単に奏法や技術にとどまらない、民族の心を同胞たちに届けねばという恩師の志が、原動力だ。「教員でも芸術人でも、ウリハッキョの子どもや同胞たちに、朝鮮人の魂がこもった音楽、チャンダン、音色を、教え、届ける人材になってほしい」。後進たちにもそう強く望む。

女子が多く「肩身が狭かった」(笑)大学時代、プロ奏者をめざし練習に明け暮れた。

先月、音楽科創設60周年記念大同窓会では、「今でも変わらず一途に続けているのは誇りだ」と同窓生たちからエールを受けた。日本各地の同胞たちの賞賛と声援と期待とが、今日も崔さんをステージに立たせる。「オッケチュムが自然に出てきて、民族の魂に火がつくような音色を、これからも届けたい」。その音色は、民族性の継承地、発信源としての、朝大の誇りだ。(英)

Facebook にシェア
LINEで送る