被爆80年、広島で朝鮮人被爆者追悼会を初開催
2025年08月04日 15:41 社会「すべての同胞被爆者の恨を解くために」

参加者らはすべての朝鮮半島出身原爆被害者を追悼し、黙とうした
広島県朝鮮人被爆者協議会(朝被協)が主催する「朝鮮半島出身原爆被害者を追悼する会」が2日、広島市留学生会館で行われた。朝被協主催の追悼会は初。ここに総聯広島県本部の呂世珍委員長、朝鮮人強制連行真相調査団の陳吉相事務局長をはじめとする同胞、日本市民など110余人が参加した。
朝被協の推計によると、原爆が投下された1945年8月6日当時、広島市内にはおよそ5万3千人の朝鮮人が居住しており、3万人が命を落とした。かれらは日本の植民地支配下の朝鮮から、生活の糧を求めて日本に渡ってきたか強制連行された人々だった。しかし、県内にはすべての朝鮮半島出身原爆被害者を追悼する碑は存在しない。平和記念公園内(広島市)には「韓国人原爆犠牲者慰霊碑」が存在するが、朝被協と総聯県本部はすべての朝鮮人被爆者追悼碑を建立し、そこで追悼会を開くことを目指してきた。しかし、未だ実現には至っていない。被爆者が高齢化するなかで、「これ以上先延ばしにできない」(朝被協・金鎮湖会長)という判断の下、被爆80年を迎える今年、初となる追悼集会の開催に至った。
はじめに、原爆投下によって犠牲になった朝鮮半島出身被害者を偲び、黙とうが捧げられた。次に、朝被協関係者などが祭祀を行い、国平寺の尹碧巖住職が読経した。参加者らが献花し、浄土真宗本願寺派の日本人住職らが読経した。

参加者らが献花した
つづいて、朝被協の金鎮湖会長が報告した。金会長は、この日結成50周年を迎えた朝被協が、在日朝鮮人被爆者の権利擁護、国際舞台での米国の責任追及、在朝被爆者支援などさまざま活動を行ってきたことに言及し、この運動をけん引してきた李実根前会長(故人)の功績について回想した。そのうえで、「日本政府は国交がないことを楯に、在朝被爆者支援に消極的で、いまだかれらは放置されたままだ」としながら、「同胞被爆者たちの恨を解くためにも、あらゆる選択肢を視野に入れて、追悼碑建立のために尽力する。朝鮮半島出身者の被爆経験を後世に継いでいく」と強調した。

朝被協の金鎮湖会長が報告した
その後、来賓として、広島県原爆被害者団体協議会の箕牧智之理事長、日朝友好広島県民の会の高橋克浩共同代表があいさつした。
この日、朝鮮の「朝鮮原子爆弾被害者協会」から追悼会に寄せられたメッセージを県本部の呂世珍委員長が読み上げた。同協会は、すべての朝鮮人犠牲者に哀悼の意を表しながら、「祖国解放を目前に控えた中で、米国の原爆により命を奪われたことは、日本帝国主義による植民地支配がもたらした悲劇の極みだ」と指摘。「日本政府が誠意ある謝罪と賠償を行い、過去清算の問題を完全に解決することは、果たすべき法的かつ道義的責務であり、避けて通ることのできない課題」だと強調した。
最後に、朝被協の権鉉基理事(県青商会常任幹事)が次世代として被爆者たちの思いを継いでいく決意を表明した。
(康哲誠)