解放80年に際し銘板を新調/足尾朝鮮人強制連行犠牲者追悼式
2025年07月29日 08:50 歴史 社会異国で命落とした73人刻む

新調されたアルミ製の銘板
日帝植民地時代、足尾銅山に強制連行された朝鮮人犠牲者の追悼式が7月27日、栃木県日光市足尾町にある慰霊碑の前で行われた。
総聯栃木県本部の李在哲委員長をはじめとする同胞たち、日朝友好栃木県民の会のメンバーをはじめとする日本市民ら70人が追悼の祈りを捧げた。
1995年から毎年開かれてきた追悼式では、犠牲者の銘板が木製からアルミ製に新調されたことが報告され、恒例の焼肉交流会も行われた。
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足尾銅山が栃木県に提出した名簿には、1940年から45年8月までに2416人の朝鮮人が連行された記録が残っている。また、栃木県朝鮮人強制連行真相調査団が町役場に残っていた当時の火葬許可書と、同町の寺の過去帳を調べた結果、朝鮮人73人の死亡年月日と死因などが判明した。
小房子岳の山中の足尾銅山・小滝専念寺説教所跡地にある木製の慰霊碑は、総聯本部と県民の会、栃木県朝鮮人強制連行真相調査団の3者によって1994年8月28日に建立されたもの。木製の角塔婆と銘板は有志によって繰り返し建て直され、保たれてきた。
追悼式が行われたこの日、碑の前には東京中高生徒たちの折り鶴が添えられていた。
式ではまず、銘板新調の経緯について説明があった。従来の木製の銘板は雨風によって朽ちていた状態が続いていたが、解放80年を機に朽ちることのないものへと新調することになった。
続いて、県民の会の宇賀神文雄会長があいさつした。
宇賀神会長は昨今、植民地支配への反省はおろか、極右や排外主義者が台頭するなど社会的に過去の歴史を歪曲することがまかり通っている現状に言及。一方で、追悼式が始まった30年前の当時のメンバーたちを思い浮かべながら、今日の追悼式に足を運んだ人々が史実を伝えていくうえで大事な役割を担っていると強調し「日本人が朝鮮に何をしたのか反省しなくてはならない」と述べた。
総聯本部の李在哲委員長があいさつした。
李委員長は式の参加者たちに敬意を表しながら、足尾の地で長きにわたって追悼式を開催してきた関係者たちに謝意を述べ、日本市民の尽力によって73人の犠牲者を伝える新たな銘板を設置することができたと話した。
李委員長は、日本政府が未だに朝鮮と国交を結ばずに植民地支配の責任を認めてないうえに、朝鮮に対して制裁と圧力を、総聯と在日朝鮮人に対して不当な行為を、朝鮮学校には極めて差別的な措置を講じていることは断じて許せないとし、「未来は過去の過ちを率直に認めてこそ開かれるだろう」と述べた。