商業分野を特集/『季刊 朝鮮経済資料』2025年第2号
2025年07月13日 09:00 経済『季刊 朝鮮経済資料』(発行=KAN経済研究所)2025年第2号が発行された。今号では、「商業分野における革新と社会主義の復元」と題した特集を組み、商品流通システム、電子商業法、消費生活の変化などにフォーカスした。
「国家商業網を介した商品流通システムの確立における重要な問題」(解説・訳:姜日天)は、『社会科学院学報』2025年1号に掲載された論文の全訳。
金正恩総書記は、朝鮮労働党第8回大会で行った報告で、朝鮮の商業が必ず解決すべき重要な課題は、「商業・サービス活動の全般にわたって国家の主導的役割、調整統制力を回復し、人民に奉仕する社会主義商業の本態を生かすこと」だと述べた。本稿は、この課題を解決するためには、国営商業網を介した商品流通システムを構築すべきだとして、社会主義商業の本態を生かすための実践的な対策について言及している。
「民主朝鮮の法規解説:電子商業法について」(解説・訳:朴在勲)は、最高人民会議常任委員会常務会議で採択された電子商業法(24年11月16日付「労働新聞」)の内容について25年1月に最高人民会議常任委員会と内閣の機関紙・民主朝鮮で3回に分けて紹介されたものの全訳。解説者は同法が、ECサイトを通じた電子商取引の増加といった朝鮮の社会経済的状況に対応するためのものであり、同時に、「社会主義商業の復元」とその「本態を生かす」という政策的課題を遂行していく動きの延長線上にあると述べている。また、同法に商業活動に対する国家的コントロールの内容が盛り込まれていることから、購買者の利便性を高めつつ国家の統制とも親和性を持つ電子商業が、社会主義経済における主要な販売形態となるだろうとの見方も示している。
「[訪朝レポート]現地で感じた経済マインドと消費者購買行動の変化」(趙栄来)は、昨秋、朝鮮大学校学生の短期研修の引率として7年ぶりに訪朝した筆者が、経済制裁やコロナ禍の中でも成長を続ける朝鮮経済の活況、とりわけ消費生活の変化とそれを支える商業・サービス部門で起きている変化について紹介している。
本稿は、経済の活況は、党第8回大会が掲げた整備・補強戦略の効果の表れだとし、一例として、江東総合温室農場の事業モデルを考察。また、商業・サービス部門に広がる整備・補強戦略の効果を深掘りし、朝鮮の発展の展望についても述べている。
『季刊 朝鮮経済資料』の購入、定期購読をご希望の方はこちらから(kan_econo_ins@yahoo.co.jp)。
(侑)