キャストが語る見どころ/金剛山歌劇団2025年巡回公演
2025年06月25日 13:00 文化6月20日、金剛山歌劇団の2025年度ツアーが幕開けした。今年のテーマは「心ひとつに」。本公演に臨むキャストたちにツアーの見どころを語ってもらった。(文・高晟州、写真・盧琴順)
舞踊と演奏、歌に「心」を込めて
今年度の本公演で特徴的なのが、全12演目中、7演目が舞踊作品で構成されているところだ。
金剛山歌劇団の舞踊手・李華仙さん(功勲俳優)によると、今回は祖国の名作が年代的にバランスよく選ばれたという。
オープニングを飾るのは、新作舞踊「オブッチュム-絆風響鼓舞-」。同胞社会の固い絆をテーマに作られたこのオリジナル舞踊をはじめ、本公演を彩る多数の舞踊演目を通じて「祖国と同胞社会への感謝の気持ちを伝えられたら」と思いを語る。

舞踊手・李華仙さんが出演する「チャンゴの舞」
他方で、李さんが出演する独舞「チャンゴの舞」は、2016年に自身が祖国で最も権威ある2・16芸術賞を受賞したことを記念し、恩師のペク・ウンスさん(功勲芸術家)がプレゼントした作品だ。同作品を巡回公演で披露するのは初。「ひとつひとつの動作に恩師との思い出が詰まっている。当時のことを思い起こしながら練習を重ねた」(李さん)
歌劇団活動や育児と、公私において多忙の日々を送りながら、李さんは「体力的に大変だったが、精神面では、先代への感謝と後代への思いがさらに深まった。子どもの笑顔が力になった」と笑顔をみせる。「各地のウリハッキョに通う子たちにとって希望の灯になるような公演にしたい。これまで祖国の愛を身近に体験してきた。その一人として、舞踊を通して祖国の息吹を届けたい」(李さん)。
17年の巡回公演以来、8年ぶりにチャンセナプ独奏「輝く星」を披露するのは、チャンセナプ奏者の崔栄徳さん(功勲俳優)。
優雅なメロディーが特徴の歌謡「輝く星」を、チャンセナプで奏でたこの作品は、18年に平壌で開催された歌劇団の単独公演でも披露された。朝鮮映画「輝く星」のテーマソングでもある。

チャンセナプ独奏「輝く星」を披露する崔栄徳さん
崔さんによると、元々チャンセナプは、「農楽のような明るく活気に満ちた演奏に用いられる楽器だ」という。他方で「輝く星」のような曲調を「チャンセナプで演奏するのは異質ともいえる」とも語る。「チャンセナプの可能性を広げる作品。8年前の演奏と比べて表現方法も変わっている。ただ感情だけで吹くのではなく、曲の世界観、内なる感情を表すような演奏法で、観客たちを包みたい。また、民族器楽を配合させた管弦楽は唯一無二のものだ。公演時にはオーケストラピットにも注目してほしい」(崔さん)。

「観客との一体感を楽しみたい」と語る金成大さん(右)
「見どころはやっぱり、新曲の『心ひとつに』だ。この曲に注目してほしい」
開口一番にこう語るのは歌手の金成大さん。作詞を歌劇団の金正守団長が、作曲を孫東勲さんが手がけたこの曲について金さんは「フレッシュなメロディーの新曲が今回の巡回公演を機に、広く普及されたら嬉しい」としながら巡回公演を通じて「観客との一体感も楽しみたい」と語る。
「若い世代が『我が故郷』などの往年の名曲を披露する姿を通じて、歌劇団の歴史を受け継いで、よりよいものへと発展させていく決意を伝えたい」(金さん)