米国入国問題は関心事ではない/国際問題評論家の文
2025年06月14日 07:00 対外・国際国際問題評論家キム・ミョンチョルは9日、朝鮮中央通信を通じて「米国入国問題はわれわれの関心事項ではない」と題した文を発表した。全文は以下の通り。
最近、米国は国家安全に対する「脅威」となるという名目のもとに、19カ国の国籍者を米国入国禁止の対象に指定する措置を発表した。独善的で排他的、かつ人種差別的な米国の傲慢な行為は、いま国際社会の強い糾弾と排斥を受けている。もちろん、いかなる国家でも外国人の入国を制限・統制することは、その国の主権的権利の領域に属する。にもかかわらず、米国の今回の措置が国際社会から非難されているのは、それが他国を差別し、圧迫するための悪意ある政治的手段となっているからである。
興味深いのは、一部で今回の米国の入国禁止対象に朝鮮が含まれていないことに注目し、それが朝米対話再開の扉を開けておこうとする米政権の対朝鮮に対する宥和的立場を反映したものではないかという、奇妙な解釈まで出ていることである。これは、朝米関係の過去と現在をよく知らないことから生じた一面的な判断にすぎないと言わざるを得ない。
現米政権は、第1期政権時代である2017年に、朝鮮が米政府との協力を拒否し、情報共有の要請に応じていないという不当な理由により、入国禁止対象国リストに含め、その後も政権期間を通じてこれを維持してきた。第2期政権が始まった今年に入ってからは、わが国を「テロ対策非協力国」に再指定し、米国民による朝鮮訪問を全面的に禁止する措置の効力も再び延長した。
今回、米国の入国禁止対象に朝鮮が含まれていない理由が純粋に技術的なものであるのか、それとも政治的意図から来たものなのかは、米国のみが説明できることである。しかし、ひとつ明白な事実は、われわれが米国の入国許可の可否にまったく関心がないということである。たとえ現米政権が意図的に我が国を入国禁止対象国リストに入れなかったとしても、われわれはそれに興味を感じることはなく、喜ぶ理由もない。朝鮮に対して最も敵対的であり、異民族蔑視と人種差別が社会的風潮として固定化され、あらゆる社会悪がはびこる米国は、決してわれわれの公民たちの旅行先として歓迎されることはない。
つい最近、現米政権のナンバー2である副大統領が、ある米国の大学において「思想的多様性」が不足していると非難しながら、我が国の政治体制を荒唐無稽に攻撃する妄言を並べ立てたことも、われわれが米国という国に嫌悪感を抱くようにするもうひとつの典型的な事例である。現米政権が、当事者であるわれわれがまったく望んでもいない米国入国を許可するからといって、われわれがそれを何か「贈り物」のように受け取ると考えたのであれば、それは大きな錯覚である。
米国が勝手に外部で不法な規定をつくり、そこに朝鮮を含めようが含めまいが、それはわれわれの関心事ではなく、朝鮮はこれまでと同様、今後も米国人のわが国への入国を歓迎しないと考える。これは、米国のあらゆる敵対的脅威から国家・社会制度と人民の福祉と安寧を守るための正当かつ合法的な主権的権利の行使であり、悪意に満ちた米国の偏見的な入国禁止措置とはまったく性格を異にするものである。
われわれは、誰かの希望的観測や主観的解釈に基づいて米国の行動を評価したりはせず、加えることも引くこともなく、現実のままに、そして自らの自主的判断に基づいて米国に対応していくであろう。
(朝鮮新報)