〈本の紹介〉京都の伝統産業に生きた在日朝鮮人―西陣織と京友禅/安田昌史著
2025年06月13日 11:20 在日同胞 歴史重労働を強いられた同胞の生を描く

明石書店/本体4950円(税込)
植民地時代から多くの在日朝鮮人が携わってきた産業の一つとして、京都の繊維産業(西陣織、京友禅)が挙げられる。本書は、日本伝統と見なされる繊維産業における在日朝鮮人をテーマに掲げ、その経緯や労働実態などを多角的に論じた学術書だ。
著者は、「日本伝統の着物は日本人が作る」といった先入観が在日朝鮮人を「見えない人々」としてきたという問題意識を出発点とし、本紙をはじめとする資料による歴史学的アプローチとインタビュー調査に基づいた社会学・文化人類学的アプローチで在日朝鮮人の労働の実相に迫っている。