〈在日発、地球行・第4弾 13〉知られざる「平壌団地」の記憶/シリア
2025年05月07日 10:52 在日発、地球行
過去の連載記事はこちらから▶︎ 在日発、地球行・▶︎〈第1弾〉、 ▶︎〈第2弾〉、▶︎〈第3弾〉
正式名称:シリア・アラブ共和国。首都:ダマスカス。人口:約2350万人(2023年時点)。面積:約18.5万㎢(朝鮮の約1.5倍)。言語:アラビア語。民族:アラブ人約75%、クルド人約10%、アルメニア人等その他約15%。渡航方法:シリア旅行はツアー参加でのみ可能。渡航前に現地の旅行会社に連絡し、事前に国境警備許可番号を取得する必要あり。朝鮮籍の筆者はヨルダンから陸路で国境越え、国境でビザ取得(24年8月時点)。

協働と交流が紡いだ「第二の故郷」
シリア滞在の最終日前夜、ツアー会社の代表アユーブ(33)から実家での夕食に誘われた。「私の家族が住んでいる団地は昔、朝鮮が建てたものなんだ」。朝鮮とシリアの交流史に興味を抱く筆者への、粋な計らいだった。かれの招待を迷わうことなく快諾。夕暮れ時に待ち合わせ、かれの車で実家を目指した。
ダマスカス南西部のアル・マザ地区。車から降りると、白亜のタイルをまとった10階建ての団地群が目に飛び込んできた。「ここの10棟すべてが朝鮮の手によるものだ」とアユーブが説明する。1983年から85年まで朝鮮の建築家と技術者が建設に携わったこの団地群は、今なお地域のランドマークとして静かにたたずんでいた。
連載「在日発、地球行」過去記事
〈在日発、地球行・第1弾 1〉聖地で見た現実/インド
〈在日発、地球行・第1弾 2〉「値切り戦争」勃発/ベトナム
〈在日発、地球行・第1弾 3〉ブラザーと立てた誓い/イラン
〈在日発、地球行・第1弾 4〉大自然に時を忘れ/モンゴル
〈在日発、地球行・第1弾 5〉一期一会に乾杯/カンボジア
〈在日発、地球行・第1弾 6〉美味、珍味に興味津々/グルメ編
〈在日発、地球行・第1弾 7〉灰となりガンジス川に/インド
〈在日発、地球行・第1弾 8〉肌で感じた朝鮮の「風」/モンゴル
〈在日発、地球行・第1弾 9〉死と隣り合わせで/カンボジア
〈在日発、地球行・第1弾 10〉中毒にご注意を/イラン
〈在日発、地球行・第1弾 11〉本当に「ズゲール」?/モンゴル
〈在日発、地球行・第1弾 12〉バックパックとプライドを背負い/一人旅で自問、再び出発点へ
〈在日発、地球行・第1弾 13〉異国の日常/写真特集
〈在日発、地球行・第2弾 1〉世界一過酷な地で見つけたもの/エチオピア
〈在日発、地球行・第2弾 2〉あの日を懐かしむアラフォー世代/エチオピア
〈在日発、地球行・第2弾 3〉朝鮮と国交断絶、民心はいかに/ヨルダン
〈在日発、地球行・第2弾 4〉暴虐非道にも折れぬ尊厳/ヨルダン
〈在日発、地球行・第2弾 5〉今も息づく先代の精神/キューバ
〈在日発、地球行・第2弾 6〉幾人もの「同志」現る/キューバ
〈在日発、地球行・第2弾 7〉抑圧と困難を生き抜く/キューバ
〈在日発、地球行・第2弾 8〉治安の悪さは世界一!?/ベネズエラ
〈在日発、地球行・第2弾 9〉いまだ革命の途上に/ベネズエラ
〈在日発、地球行・第2弾 10〉自分たちの運命は、自分たちの力で/ベネズエラ
〈在日発、地球行・第2弾 11〉海を渡れば「普通のこと」/ラオス
〈在日発、地球行・第2弾 12〉癒えぬ戦争の爪痕/ラオス
〈在日発、地球行・第2弾 13〉代えがたい豊かさ/ラオス
〈在日発、地球行・第3弾 1〉横たわる経済構造のジレンマ/モザンビーク
〈在日発、地球行・第3弾 2〉悠然と佇む金日成通り/モザンビーク
〈在日発、地球行・第3弾 3〉大国に与しない主体性/モザンビーク
〈在日発、地球行・第3弾 4〉銅像に見るアフリカの眼差し/モザンビーク
〈在日発、地球行・第3弾 5〉過去の希望と、今日の現実/モザンビーク
〈在日発、地球行・第3弾 6〉運命を共にした記憶/モザンビーク
〈在日発、地球行・第3弾 7〉搾取の歴史踏まえた評価/ジンバブエ
〈在日発、地球行・第3弾 8〉今なお残る人種隔離の遺産/ジンバブエ
〈在日発、地球行・第3弾 9〉朝鮮が手がけた国家的記念碑/ジンバブエ
〈在日発、地球行・第3弾 10〉両国を結びつける共通項/ジンバブエ
〈在日発、地球行・第3弾 11〉脱欧米路線の加速/ジンバブエ
〈在日発、地球行・第3弾 12〉胸の奥にしまう反英感情/ジンバブエ
〈在日発、地球行・第3弾 13〉共に志向した自力更生の路線/タンザニア
〈在日発、地球行・第3弾 14〉アフリカにチュチェ思想?/タンザニア
〈在日発、地球行・第3弾 15〉朝鮮との「隠された」繋がり/タンザニア
〈在日発、地球行・第4弾 1〉昨今のパレスチナに何思う/ヨルダン
〈在日発、地球行・第4弾 2〉まだ見ぬ故郷を描いて/ヨルダン
〈在日発、地球行・第4弾 3〉置かれた境遇に心重ね/ヨルダン
〈在日発、地球行・第4弾 4〉良識ある民衆の声とは–/ヨルダン
〈在日発、地球行・第4弾 5〉混沌とした危機の中で/シリア
〈在日発、地球行・第4弾 6〉耳に残る親しみの言葉/シリア
〈在日発、地球行・第4弾 7〉心響くもてなしと寛容さ/シリア
〈在日発、地球行・第4弾 8〉「戦友」に贈る共闘のギフト/シリア
〈在日発、地球行・第4弾 9〉共同戦線に立つ軍人の思い/シリア
〈在日発、地球行・第4弾 10〉戦禍を超える二つの記念碑/シリア
〈在日発、地球行・第4弾 11〉文明の十字路に刻まれた分断/シリア
〈在日発、地球行・第4弾 12〉戦火と制裁に揺れる民/シリア
〈在日発、地球行・第4弾 13〉知られざる「平壌団地」の記憶/シリア