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三重同胞奮闘記⑰レゴ授業と学校生活の相乗効果/金琴純

2025年05月02日 14:17 暮らし・活動

レゴを楽しむ子どもたち

四日市初中では8年前からレゴ授業が行われている。

それまで子どもたちにとってレゴは家や幼稚班で自由に遊ぶ玩具だったので、授業となると結構とまどったそうだが次第に定着。「大事なのは試行錯誤させること。成長過程で必ず通らなくてはいけないことだから」。金玲喜教員いわく、子ども一人ひとりにある一番超えられないマインド部分がレゴ授業で浮き彫りになることで、学校生活で引っかかっている部分をお互い認めあえるそうだ。ある子は自分の作品を人前で発表できず泣きだし、「おにぎりを作る」テーマでは立体的ではなく平らに作る子、頂点から作り始める子がいるなど驚きの連続だったそうだ。

「あきらめ癖のある子がいつのまにかできるようになって、自分のできることを増やす場、アウトプットの場でもある」と話す朴世里教員は、学校生活とレゴ授業のすべてがつながっていると分かったという。答えを示さず質問することで、何が足りないのかを考えさせるのがコツだそうだ。

4人の留学同のソンセンニムが授業を行った

ソンセンニムにレゴを習う子どもたち

3月のある土曜日、授業を見学した。4人の留学同のソンセンニムが児童・生徒の前に立ち、ウリマルで話す。

低学年の1時間目はレゴマスター。時間内に見本のコピーを作り、難しかった点や工夫した点を発表する。2時間目は「今年楽しかったハッキョの思い出」をテーマに、文章や絵で各々何を作るか決めてからレゴを触り始める。何度も作っては壊し、完成すると確認してもらう。留学同のソンセンニムはどこが間違っているかを自分で考えさせ、分かるまでつきあう。

ちなみに高学年・中級部は、ソルマジ土産の「亀甲船」(祖国のレゴ)の組み立てに四苦八苦していた。

難しかった点や工夫した点などを発表

ソンセンニムにレゴを習う子どもたち

留学同のソンセンニムとして6年間教えてきた金珠梨さん。教員と一緒に年間目標を立て、失敗に思った授業があると次回のために担当教員らとしっかり話しあってきた。「授業を組み立てて教えることが楽しい。今この子にとって何を伸ばしてあげればいいのか考えて、集中力がきれる前に声をかけている。あまり楽しんでいなかった初級部1年生の顔つきが変わってきた」。

高学年と中級部を教える李愛理さんはレゴテクニックのプログラミングを担当。いろんな大きさの車輪づくりを通してどれだけ速く車を動かせるかを追求するのだが、子どもたちがあまりやる気を出さず悩んだそう。プログラミング教育を楽しみながら学べるところがいいという。

崔彗娜さんと金承明さんはまだ1年ほどしか経験がないが、先輩を観察して声がけのタイミングを計り、子どもたちの成長を楽しんでいる。

「自分の時代にレゴ授業があったら良かったな」とうらやましそうな朴教員、私もうちの息子たちに受けさせたかったな!

レゴ授業のようす

(「ウリ民族フォーラム2023in三重」と準備過程で活気を取り戻した三重同胞社会。フォーラム後も有志たちの奮闘は続いている。同フォーラム記録係を務めた金琴純さんがかれらの活動をレポートする。不定期掲載)

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