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〈月間平壌レポート2025年4月〉名節をよりにぎやかに、華やかに

2025年04月30日 09:00 共和国

恒例になったビッグイベント

【平壌発=金淑美】花々が咲き誇る平壌の春。金日成主席の生誕節を祝い、毎年、多くの行事が行われる季節だが、今年はコロナ禍で数年間、中断していたイベントも再開され、名節をにぎやかに、華やかに祝った。

平壌大劇場前の広場で行われた慶祝公演。多くの市民で盛り上がりを見せていた

竣工式参加者の感慨

「今年の春はいつも以上に目まぐるしく過ごした」と話すのは、朝鮮料理協会中央委員会のパク・ヒャンミさん。毎年4月名節に際して全国料理祭典(3月31~4月3日、平壌麺屋)を主催する同協会。多忙を極めたのは、今年は砂糖菓子彫刻展示会(9~11日、清流館)を6年ぶりに再開し、二つの行事を並行して進めたためだ。砂糖菓子やチョコレートの甘い香りに包まれた会場は、連日多くの来場者で大盛況。パクさんは、「調理と芸術の両側面を持つ砂糖菓子彫刻展示会は、最上の文明を最高のレベルで実現するうえで大きな意義がある。出品作品はどれも時代を反映しただけでなく、使用した食材も以前より多様になった。想像以上だ」と興奮気味に話した。

昨年リニューアルしたばかりの4月15日少年百花園で初めて開催された草花祭展は、2019年まで行われていた催しを継承したイベントだ。品種のバリエーションが豊富になったほか、会場を室内から野外に移し、夜間のライトアップも楽しめる行事に様変わりした。

異色を放ったのは、海外ランナーを招いて6年ぶりに開催された平壌国際マラソン(6日)だ。海外ランナーが沿道の市民と楽しそうに交わるようすは、各国との友好、親善を深める契機としての4月名節の意義を印象付けた。同時に、諸外国のランナーたちが、平壌が誇る名所や最新スポット、冷麺や大同江ビールを満喫する姿は、観光業の再開への期待も抱かせた。

イルミネーションでおめかしされた平壌駅周辺

平壌のシンボル、チュチェ思想塔もライトアップ

最大のハイライトは、15日に行われた和盛地区第3段階1万世帯住宅の竣工式だった。4月名節に際して1万世帯住宅の竣工を祝うビッグイベントは今年で4年目だ。

翌日、「名節はどう過ごしましたか?」と平壌ホテルスタッフのキム・スジョンさん(36)。朝鮮では名節の翌日にあいさつ言葉のように交わされるフレーズだが、何か言いたげだ。逆に聞いてみると「竣工式に参加した」というではないか。

平壌市5万世帯住宅建設プロジェクトの竣工式や着工式には、建設者や入居者だけでなく、さまざまな形で建設に関与したり支援した人々や一般市民が参加する。和盛地区3段階の着工式、竣工式の両方に参加したというキムさん。「元々和盛地区は、あたり一面に何もない原野だった。着工時は立っているのも不便だった場所に、道路が綺麗に整備され、高層ビル群が立った。1年前はどんな姿だったか、もう思い出せない」という。

すっかりお馴染みとなった竣工を祝う芸術公演。今回の一曲目は人気沸騰の新曲「われらは朝鮮人」だった。キムさんは、「資材調達もままならないコロナ禍の最も厳しかったときから今日まで、私たちが本当にたくさんの建設を行ってきたのだと振り返った。曲を聞きながら万感の思いが込み上げてきた」と感慨に浸っていた。

新ドラマに沸く

あるドラマが今、国内を席巻している。新たな農村振興政策の実行をモチーフにした新作テレビドラマ「白鶴原の新春」(全22話)だ。テレビドラマ形式の作品としては珍しく劇場公開(3月上旬~)され、話題を呼んだ。4月中旬にモバイル端末へのDLサービスが始まり、平壌市内では誰も彼も一斉に動画入手しては寝る間も惜しんで熱中し、昼休みの休憩時間、移動中のバスやトロリーバスの中まで、街中が釘付けだ。休日に訪れた公衆浴場でも、岩盤浴にスマホを持ち込み、そこかしこでドラマを視聴する市民がいるほどの熱狂ぶりだ。

ドラマの舞台は、国内屈指の穀倉地帯である黄海南道信川郡のとある農場。道内で最も立ち遅れた農場に派遣された里党書記のリーダーシップの下、農場員たちが紆余曲折しながら穀物生産計画遂行に向けて奮闘する、笑いあり涙ありの物語だ。

タイトルからも想起されるように、同名の小説が1990年代序盤にドラマ化され、一大旋風を巻き起こした「石窟の新春」の「再来」とも言われる同作。穀物生産構造を大胆に変え、麦と小麦の生産量を増やす政策など、近年、労働が実施した農業政策を色濃く反映しただけでなく、農村の今をリアルに描いたというのが、視聴者の評価だ。

今年の4月は、例年よりも雨が多く降った。上旬に八分咲きだったアンズの花は、満開を前に降り続いた雨で見頃を逸してしまった。「4月15日はアンズの花が満開じゃないといけないのに…」と残念がりながらも、「これだけたくさん雨が降ったら、前作の麦、小麦は今年も豊作に違いない」と話す本紙平壌支局の運転手Sさんもやはり、新作ドラマに心酔中なのは言うまでもない。

※「白鶴原の新春」はエルファTVで4話まで配信中

(朝鮮新報)

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