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「30回」の歴史、感謝を刻む/広島「ピョンファ杯」

2025年04月02日 14:42 スポーツ

レセプションで話に花を咲かせた各校の選手たち

広島初中高・高級部サッカー部後援会が主催する朝・日親善高校サッカー大会の「ピョンファ杯」が3月24~26日にかけて開催された。大会を通じて、朝・日交流やサッカープレイヤー育成に貢献してきた「ピョンファ杯」の歴史が振り返られ、大会を築き上げた先代たちへの感謝が参加者の心に刻まれた。

後輩のための大会を

強豪校との試合で貴重な経験を積んだ(赤が広島初中高・九州初中高合同)

第30回大会を迎えた「ピョンファ杯」。今から約30年前、朝鮮学校が全国高等学校体育連盟(高体連)の主催する公式大会に出場できなかった状況下で生まれた。

高体連は長いこと、加盟資格を学校教育法第1条で定める「1条校」に限定していた。そのため各地の朝鮮学校は、サッカーに限らずすべての競技において大会から「除け者」とされていた。この状態は、大阪朝高・女子バレーボール部の春季大会出場(1990年5月)を契機に、96年に朝高選手の全競技大会出場が可能となるまで続いた。

こうした条件の下で、広島初中高サッカー部OBたちは、「大会に出られない後輩たちのために大会を創設しよう」と後援会を立ち上げ、「ピョンファ杯」を企画した。

後援会の宋徳竜名誉顧問(73)は、本紙で東京の「イギョラ杯」(東京朝鮮中高級学校サッカー部OB会が主催する国際親善ユースサッカー大会)の記事を見て、「西でも同様の大会を創りたい」と創設を提案したと明かす。

後援会メンバーをはじめ広島や中四国の同胞たちも賛同の名乗りを上げ、大会創設のための準備が進められた。

「全国」出場の礎

レセプションでは中、高級部・舞踊部が朝鮮舞踊を披露した

こうして1994年に第1回大会を開催。「ピョンファ」開催にあたり、西日本の選手権出場常連校たちが次々と参加を快諾した。日本学校の監督たちには、同じサッカーを愛する者同士、広島初中高の公式大会出場を望んでいた監督も多かった。

大会の初期から関わる崇徳高等学園の重里求昭監督(51)は、「今年の大会に当時の広島初中高チームが出ていたら、恐らく日本学校のどのチームも負けていたんじゃないか」と笑いながら話す。重里監督にとって、全盛期の広島初中高の「球際の強さ」は記憶に鮮明に残っているようだった。

重里監督との繋がりから「ピョンファ」に誘われ、近年、監督として参加を続けている福岡県立筑紫高等学校の田縁憲昭さん(50)は、大会草創期の話を聞き「あれだけの強豪校が大会への参加を決めたということは、それだけ広島初中高サッカー部の実力が認められていたからなんだろう」と納得の表情を浮かべる。

県内外から「全国」大会常連の猛者たちが参加する「ピョンファ」は毎年年度末に行われるため、翌年度の「全国」大会出場チームを占う大会となった。

こうして大会で経験を積んだ広島初中高は第7回大会(00年)で「ピョンファ」初優勝を遂げると、01のインターハイ県予選決勝で、県内では敵なしとされていた県立皆実高校との激闘を制し、「全国」大会初出場の夢を叶えた。「ピョンファ」は「全国」出場の礎となった。

第1回大会から後援会メンバーとして大会に携わり、第7回から9年間、後援会会長を務めた朝銀西信用組合の呉相錫理事長(67)は、「インターハイ出場の祝賀会にはライバルだった日本学校の監督たちも参加してくれた」と回想する。

朝・日親善を掲げた「ピョンファ杯」はこのようにして、サッカー部の強化と共に、同胞と日本市民たちの草の根の交流にも大きく貢献してきたのだ。

思いを受け継ぎ

参加者たちで記念撮影

宋名誉顧問は「30回も大会が開催され続けてきたことが誇らしく、とても嬉しい」としみじみと語る。「子どもたちがただ単にボールを蹴るのではなく、交流を通じて礼儀や社会性を身に付けられるのも大会の意義だ」とし、「生徒たちが今後も大会を通じて人間的に成長し、ウリハッキョとサッカー部を大切にしてくれたら」と話した。

また、呉理事長は、「同胞の先輩たちを筆頭に、いろいろな人に支えられたからこそ、30回まで続けてこられた。歴史的な日を迎えて、本当に感慨深い」と話す。「先代たちの思いを背負って戦ってくれると嬉しい」と後輩たちにエールを送った。

広島初中高の姜智寿監督(教員)は、今年で監督として3回目の「ピョンファ」参加となった。自身が高級部生のときにも、選手として大会に参加した経験を持つ姜さんは「選手たちは技術やフィジカルの面で成長を図れるし、交流では人間性も育まれる。日本学校の生徒たちにもウリハッキョを知ってもらえる」と大会の持つ意義について語る。姜さんはレセプションを終えて、「闘志爆発」というスローガンのもと、諦めず戦い続ける姿を見せたいと決意を語った。

(朴忠信)

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