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「『コッソンイ』にみる朝鮮学校の風景」/無償化連絡会主催でブックトーク

2025年03月10日 15:00 交流

ブックトーク「『コッソンイ』にみる朝鮮学校の風景」が東京の文京区民センターで行われた。

ブックトーク「『コッソンイ』にみる朝鮮学校の風景」が2月15日、東京の文京区民センターで行われた。

このイベントは、朝鮮学校に通う児童・生徒たちの作文コンクール「コッソンイ」(主催=朝鮮新報社)および同コンクールの入選作の一部を掲載した書籍『コッソンイ』(朝鮮語版、日本語版)をトークテーマにしたもの。朝鮮学校「無償化」排除に反対する連絡会(無償化連絡会)の2025年年次総会の第2部として企画された。

ブックトークでは、月刊『セセデ』や朝鮮新報の記者を務め、「コッソンイ」コンクールに長く携わってきた金潤順さん(53)と東京中高教員(朝鮮語)の康明世さん(47)が登壇した。無償化連絡会共同代表の佐野通夫さん(70)が司会を務めた。

ブックトークでは金潤順さん(左)と康明世さんが登壇した。

金さんは、コンクールの審査には1996年から、事務局スタッフとしては2007年から携わるなどコッソンイとの関わりは30年近い。2019年から23年にかけて韓国で第4集まで出版された朝鮮語版の共同編集と、昨年10月に出版された日本語版の翻訳を担当した。

金さんは、毎年日本各地から寄せられる子どもたちの手書きの原稿に触れた時の喜びについて語りながら、自分にとってコッソンイとは「児童・生徒、教員、保護者、学校を支える人々の息づかいを感じられるもの」だと述べた。

一方、康さんは児童・生徒たちに作文を書かせる意義について、「その時々の自分の気持ちを文章として残すのはとても大切なことだ」としながら、「授業で作文を書くとなると、生徒たちはどうしても成績のことを考えてしまうが、きれいに書くことは一旦脇に置いて、自分にしか書けないものを書くよう指導している」と話した。テーマ選びについても、「平凡な日常の中にも題材はいくらでもある。同じ経験をしていても着眼点が変わることによってまったく別の作品が生まれる。難しく考えずに書いてみることが大事」とした。また康さんは、在日4世、5世が主流となり、朝鮮語の語彙数が決して多くない今の生徒たちにいかにして朝鮮語の作文指導を行うか、教育現場での試行錯誤も吐露した。

続いて、金さんが書籍『コッソンイ』の編集について話した。朝鮮語版では、訪日した韓国の市民団体一行にアポなしで直談判し、韓国での出版にこぎつけた経験を臨場感たっぷりに話した。日本語版の出版に際しては、コンクールが始まった1978年から47年分の入選作の中から50編を選び、翻訳も担当した。金さん、康さんとも、コッソンイ日本語版が「いつかは日本学校の図書室に並んでほしい」「日本の子どもたちに読んでもらいたい」などと話した。

25年度の活動方針提案

ブックトークに先立って行われた年次総会では、無償化連絡会の2024年度の活動が総括され、25年度の活動方針が提案された。

連絡会は25年度に▼「高校無償化」制度からの除外など朝鮮学校差別を是正するための世論喚起、政府や国会議員への働きかけ、全国の朝鮮学校支援団体・個人との交流、国会議員の朝鮮学校訪問の実現、▼文科省前「金曜行動」、▼東京都による朝鮮学校に対する補助金不支給問題についての申し入れ活動、都議会勉強会実行委員会や超党派の都区市町村議員との連携強化といった活動に注力していくという。

(李相英)

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