在留資格失効を理由に小学校から除籍
2025年01月29日 14:30 連載 社会を知る~今週のnewsトピック~日本社会や在日同胞を取り巻くニューストピックを週に一度、紹介する。
在留資格失効を理由に小学校から除籍
さいたま市教育委員会が昨年9月、在留資格の失効を機に市立小学校に通うトルコ国籍の6年生の女児(11)を同校から除籍処分にしていたことがわかった。
女児は2022年11月に父母や兄と来日。一家はトルコで迫害されていたとして23年に難民申請し、特定活動の在留資格を得た。当時、女児も小学校4年生に編入したが、6年生だった昨年7月に難民申請は不認定となり在留資格を喪失した。その後、市教委は、女児側に在留資格の申請書などを求めたが提出されず、9月6日付で除籍処分とした。女児は就学を希望していたという。
日本も批准する「子どもの権利条約」は、国籍を問わず教育を受ける権利を明記している他、文部科学省は、在留資格がなくても、住所を証明できる書類があれば義務教育を受けさせるよう自治体に通知している。
さいたま市は1月24日、対応が誤りだったとして、女児を復学させる方針を示した。
障がい児の「逸失利益」、健常者と同額
大阪市生野区で2018年、聴覚支援学校に通う井出安優香さん(当時11)が重機にはねられ死亡し、将来得られたはずの「逸失利益」が争われた訴訟の控訴審判決で、大阪高裁は1月20日、平均賃金の85%とした一審・大阪地裁判決を変更し、健常者と同額を認めた。
大阪地裁判決は、安優香さんに将来様々な就労の可能性があったとする一方、障がいで他者とのコミュニケーションが制限され、労働能力も制限しうることは否定できないとして、全労働者平均賃金の約85%とするのが相当とした。
一方、高裁では、安優香さんは、補聴器や手話などを活用し、健常者に劣らない能力を発揮していたと指摘。また、学年相応の学力があり、コミュニケーション能力も高かった。そして、障がい者が直面する壁は社会が合理的配慮で取り除くべきだという考えのもと法整備がなされ、技術革新が進んでいることも踏まえれば、将来は「ささやかな合理的配慮」で健常者と同じ条件で働けると予想できたとした。その上で、平均賃金で逸失利益を算定することに「顕著な妨げ」となる事情はなく、減額する理由はないと結論づけた。
米価高騰を抑える新制度
農林水産省は、新米の供給が始まっても価格高騰が止まらないため、凶作時しか備蓄米を放出しないとしてきた方針を転換する。
備蓄米は、大凶作が起きた1993年の「平成の米騒動」を契機に始まった制度。100万トンを備蓄するために、年500億円程度の国費を投じている。昨夏に店頭からコメが消える事態が生じても、農水省は「凶作ではない」と放出しなかった。
農水省は、「新米の供給が始まれば、米価高騰は収まる」としてきたが、高騰は止まらず、過去最高値の更新が続いている。
24年産の生産量は前年よりも18万トン多くなる見込みだが、農協など主要な集荷業者が11月までに確保した24年産のコメは、前年よりも17万トン少ない。農水省は、「農家や流通業者が米価のさらなる上昇を期待して、コメを売り渋っていることが原因」と見ている。
一連の流れの中、1月24日の閣議後の記者会見で江藤拓農水相は、備蓄米放出に関する新たな制度を作ると明らかにした。コメの集荷業者を対象に備蓄米を販売し、政府は一定期間後までに同量を買い戻す方針という。
(朝鮮新報)