〈二十歳の集い2025〉受けた愛情、恩に報いたい/東京【動画】
2025年01月15日 09:10 暮らし・活動
「2025年20歳を迎えた東京朝鮮青年たちの祝賀会」(主催=総聯東京都本部、主管=朝青東京都本部)が12日、都内で行われた。
この日の祝賀会には、総聯中央の朴久好第1副議長兼組織局長、総聯本部の高徳羽委員長、都商工会の具本憲会長、都青商会の鄭仁哲会長、朝青中央の李光日委員長、朝青本部の金志弘委員長をはじめとする各組織・団体の関係者と20歳を迎えた新成人とその家族ら約170人が参加した。
1部の成人式で祝辞を述べた高徳羽委員長は、20歳を迎えた新成人とその家族たちに祝いの言葉を送ったうえで、2025年の年明けに入ってきた祖国からの嬉しい知らせに触れた。
金正恩総書記は今月2日、党中央委員会の本部庁舎で、祖国を訪問し今年の迎春公演に参加した在日朝鮮学生少年芸術団のメンバーらを接見し、団長に向けて、総聯愛国偉業のバトンを受け継ぐ担い手をより多く育て上げるよう頼んだ。
高委員長は、この日参加した新成人たちに対し、同胞社会の立派な一員になったことへの自覚を持ち、両親や恩師、同胞たちから受けた愛情と信頼を胸に刻むよう呼びかけた。そのうえで愛族愛国のバトンを継ぐ担い手として、力強く人生を歩んでほしいとエールを送った。
次に、各地から寄せられた祝電の紹介につづき、東京中高の尹太吉校長が新成人代表に記念品を手渡した。
参加した新成人らを代表し壇上に上がった朴ソラさん(朝鮮大学校2年、東京第9初級出身)は、異国の地でも自身のルーツに向き合うことができるようにと育ててくれた両親や恩師らへの感謝を述べたうえで、「先代たちが授けてくれた愛国のバトンを下の世代へしっかりと継ぐために、同級生たちとしっかりと手を携えていきたい。そして同胞社会の発展に貢献したい」と決意を述べた。
2部の祝賀宴では、初中級学校時代の恩師から届いた映像メッセージの紹介、新成人たちが準備したクイズ企画や抽選会が行われた。東京朝鮮歌舞団による特別公演の際には、参加者たちの多くが立ち上がり、場内に響く楽曲に合わせて場内を駆け巡った。
ウリハッキョがもたらす成長
この日会場は、色鮮やかなチマ・チョゴリと凛々しいスーツ姿で、同級生や保護者、お世話になった関係者らと歓談し、記念撮影をする新成人らの活気にあふれた一方、大人の仲間入りをしたかれ・かのじょらを微笑ましく見守り、喜びを分かち合う保護者や同胞たちの姿も印象的だった。
「息子の時は来なかったので初めて参加したが来てよかった」とにこやかな表情を浮かべたのは朴世実さんの父、朴善弘さん(57)。祝賀会中も、壇上に上がる娘やその友人たちの姿をスマートフォンのカメラに納めていた朴さん。感想を尋ねると「やってあげられたことは何もないのに立派に育ってくれて本当に感謝している」と一言。「ウリハッキョが子どもたちにもたらす成長というのは独特だと思う。同胞というだけで出身や地域に関係なく皆が育ててくれる。娘には信念を貫いて生きていってほしい」。
今年の祝賀会に参加した同胞青年たちは2004年に生まれ、中高時代をコロナ禍で過ごした。そんな逆境にも挫けずに学校生活を送り、祝賀会の場で久々に再会した新成人たち。かれらは皆、両親や恩師、同胞コミュニティへの感謝と共に、これまで受けた愛情や恩に報いたいと口をそろえた。
「やりたいことをやりなさいと、いつも背中を押してくれた両親には一番感謝している」と話す髙咲希さん(東京第3初級出身)は現在、保育の専門学校に通っている。障がいのある子どもたちを対象とした保育の専門家を目指し、その道へ進んだという髙さん。今後、同胞障がい者たちのために、その力を還元することも念頭に置いているそうだ。
髙さんは、3月に卒業を控える中、「自分が誰かに力を与えたり、誰かをサポートできる大人になりたい」と意気込んだ。
金英輝さん(朝大理工学部2年、東京第6初級出身)は、これまでの学生時代を振り返りながら「コロナ禍の中で、一日一日がとても貴重に思える日々だった」と語る。とりわけ、偏見のない目で人やモノをみる重要性や、大事な価値観を育ててくれた恩師らへの感謝を口にした金さんは、「結果よりもそれに至るまでの過程を大事にして大学生活を送りたい。(専攻する)物理を通じて出会いを増やしていけたら」と希望を語った。
「成人式という場に参加してみて20歳という節目を迎えた実感が湧いてきた」と話す金春希さん(帝京大学薬学部2年、東京第1初中出身)は、「これまで受けた愛情の中には、目に見えるものもあればそうでないものもある。それらがあってこそ今の自分があると思っている」とし、「次はその愛を後輩たちに注いでいきたい」と決意した。
現在、留学同東京およびKS医療・福祉ネット(医療福祉を専攻する同胞学生たちのネットワーク)のメンバーとしても活動に励む金さんは、現在、日本の学校保健安全法で大学以外の学校に設置が義務付けられている学校薬剤師が、朝鮮学校には不在だとして、その役割を果たせるよう努めたいという。「今後も同胞医療人という立場でどのように貢献すべきかを模索していきたい」(金さん)
(文・韓賢珠、写真・盧琴順)