【記者座談会】同胞、組織の底力を実感/2024年愛族愛国運動の現場を取材して
2024年12月29日 07:09 暮らし・活動能登半島地震、朝鮮の男女サッカーチームの来日、祖国訪問の再開、総聯分会代表者大会の開催など今年はさまざまな出来事があった。その現場には常に本紙記者たちがいた。激動の1年を記者たちが振り返る。
能登半島地震
Y:能登半島地震の直後、総聯中央は支援隊を現地に2度にわたって派遣し、安否確認や復旧支援活動を実施した。被災同胞に総聯中央名義の慰問金と物資が届けられ、同胞たちを元気づけようと「激励会」も催した。
被災同胞たちは余震の恐怖、家屋の倒壊や断水などで不便な生活を強いられ、先の見通せない不安にかられていたが、総聯中央と各地同胞たちの支援、激励にとても勇気づけられていた。「朝鮮人に生まれてよかった」という被災同胞の言葉がまだ耳に残っている。組織の底力、同胞社会の温もりを改めて実感した。
K:総聯本部では地震以降も、七尾市や輪島市など深刻な被害を受けた地域に暮らす同胞たちを繰り返し訪問し、生活支援を行ってきた。そして6月22~23日には、七尾、金沢市で大阪朝鮮歌舞団の石川応援特別コンサートが行われた。コンサートは、地震の影響が色濃く残る石川の同胞たちに勇気と希望を届け、復興に向けた新たな出発点となった。
一方で石川の同胞青年たちは復旧活動を、自らの拠点である朝青組織を活性化させていくための一つのきっかけと捉え、年間を通じて訪問活動や食事会を定期的に行った。朝青組織が有名無実化していた現状からの脱却を図り、逆境をチャンスに変える同胞青年たちの本領が見えた。
各地学校で竣工式
I:学校のリニューアルを祝う行事が東京第5初中、神奈川中高、愛知中高、川崎初級で盛大に行われた。一新された校舎も、人工芝化された運動場もきれいで、喜ぶ同胞、子どもたちの笑顔が印象的だった。
2026年に創立70周年を迎える朝鮮大学校では学生寮の建設事業がスタートし、大阪中高でもリニューアル事業が進んでいる。
家の近所や取材先でよく日本の小学校、中学校の前を通るが、人工芝化した学校はあまり見かけない。公立学校でもできないことを、民族教育を取り巻く環境が厳しい中でやってのけるのだから、在日同胞魂はすごい。子どもたちへの無限の愛情を感じる。
C:4月に「教育権擁護中央対策委員会」が、6月に「民族教育中央対策委員会」が発足した。それぞれ、総聯中央の担当局と女性同盟中央、中央青商会、教職同中央、中央教育会、人権協会をはじめとする中央団体の担当者で構成されている。
各地では幼保無償化適用など民族教育権を求める運動や、児童・生徒募集事業と学校支援活動が行われているが、このような運動や活動を統一的な運動として組織化していくうえで大きな意義がある。青商会など各団体の柔軟な発想とパワー、各地での貴重な経験が運動に活かされることを期待する。
分会代表者大会
K:4年ぶりに開催された「総聯分会代表者大会2024」(11月10日、東京)には各地から1200人の代表が集まった。
討論のトップバッターである総聯兵庫・姫路西支部英賀東分会代表の討論は驚きの連続だった。
前回の「総聯分会代表者大会2020」直後に開かれた分会総会で、30代、40代の11人からなる分会委員会が発足したのだが、全員が分会事業の経験がなかったという。この実情に合わせて、組織・宣伝・文化スポーツ・財政など分会委員たちが適材適所の役割を果たせるようにしたというのもとても参考になった。
何よりも、分会情報誌などの宣伝物を持って全家庭に対する訪問を4年間、欠かさず行ったというからすごい。
分会委員が今は15人に増えたということにさらに驚いた。
I:英賀東分会の活動は他の分会でも大きな話題になっている。
私が属する分会の委員たちは「総聯分会代表者大会」で大きな刺激を受けて、「各地の分会ががんばっている」「私たちももう少しがんばってみよう」ということで、まず、定期的に出せなかった分会情報誌を月1回発行することを決めた。
このように、大会は単なる「お祭り」ではなく、経験を共有して刺激を与えあい、より多くの分会が実質的な発展変化を成し遂げるうえでかけがえのない契機となったのではないか。
祖国とのつながり
Y:長らく中断されていた祖国訪問がようやく実現された。今年、同胞社会が盛り上がった要因の一つではないか。
朝鮮創建76周年慶祝在日本朝鮮人祝賀団、朝鮮大学校卒業学年祖国訪問団(1~3次)、在日朝鮮社会科学者代表団、そして学生少年たちの迎春公演(ソルマジ公演)に参加する在日朝鮮学生少年芸術団が祖国を訪問した。
日本に戻ってきた活動家、学生たちは、各地で講演会などを通じて発展を遂げている祖国の息吹を伝え、同胞たちはかれらの話に耳をそばだてた。祖国訪問は学生や代表団など一部に限られたが、今後はより多くの同胞たちが訪問できるという大きな希望と勇気を与えてくれた。
C:2月と3月、たて続けに女子、男子のサッカー朝鮮代表チームが来日した。祖国の人に直接会うのは初めてでとても感激した。
試合当日には、関東をはじめ各地から3千人以上の同胞たちが集まり、国立競技場の一角を真っ赤に染めた。熱狂的に応援する同胞たちを見て、みんなウリナラが大好きなんだなと思いながら、同胞パワーの源を見た気がした。
来年はぜひウリナラを訪問したい。
(朝鮮新報)