丹波マンガン鉱の記憶を受け継ぐ/京都で講演、李順連さんが登壇
2024年12月29日 07:05 歴史戦時中、京都・丹波山地にあるマンガン鉱山で、坑内労働に従事した朝鮮人の歴史と関連する講演が12月8日、京都市内であった。
マンガンは鉄を硬くする性質から、大砲の砲身や銃身の製造のために使われる軍需物資で、日本では第二次世界大戦中、強制連行などにより朝鮮人や被差別部落の人々がマンガン鉱山での労働を強いられた。落盤の危険を伴う労働現場では事故が相次ぎ、肺疾患などで命を落とす労働者が後を絶たなかった。
この日の講演では、16歳から鉱山労働に従事し、後に「同胞たちの記録を残そう」と丹波マンガン記念館を設立した在日朝鮮人1世の故・李貞鎬さんの娘で、歴史の語り部として活動する李順連さんが登壇した。
「戦争に使われた丹波マンガン 病み捨てられた人びと」と題した講演では、李さんが、塵肺により62歳の若さで亡くなった実父の晩年について語ったうえで「戦争加害を真正面から扱う公的な博物館がないのはどうしてなのか」と指摘。李さんは「日本軍がどのようにアジアの国々を侵略し支配したのかを日本国民に知らせるべきではないか。戦後80年にあらためて日本人に『真の歴史認識の共有』が必要な時期がきている」と声を大にした。
この日の講演は「撫順の奇蹟を受け継ぐ会関西支部」の第23回総会の中で行われた。また同総会には京都朝鮮歌舞団も出演し、歌唱を披露した。
一方、李さんは、亡き父の「志を共に学び合い、日本国の加害歴史隠蔽、在日コリアンのいま、未来を考え共に在日コリアンの処遇改善を考えよう」と『李ジョンホの意思を受けつぐ会』を発足した。
(韓賢珠)