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互いを知り心と心を/「高校生の主張コンクール」で優秀賞

2024年11月27日 11:55 民族教育

東京中高の康英淑さん

東京中高の康英淑さん(高3)が10月28日に国連大学エリザベス・ローズ国際会議場で行われた第71回国際理解・国際協力のための「高校生の主張コンクール」(※1)で優秀賞(全国人権擁護委員連合会会長賞)を受賞した。朝鮮学校の生徒として同コンクールに初出場ながら、中央大会(全国大会)で優秀賞を受賞するという快挙となった。今回、応募者274人の中から各都道府県の予選を突破した代表27人が中央大会に出場。中央大会で受賞できるのは特賞4編、優秀賞6編の10人のみとなっている。

「高校生の主張コンクール」中央大会でスピーチを行った。

今回、同コンクールに康さんが参加したのは、東京中高で高級部2年から3年までの間に行われるカリキュラムである選択授業がきっかけだった。

康さんが受けている日本語選択ではこれまで選択授業の時間にスピーチやプレゼンテーションという形で生徒たちの発表の場を設け、國學院大学が主催する全国高校生創作コンテストに応募し、入選。伊藤園お~いお茶新俳句大賞でも佳作に入るなど対外的なコンテストなどに積極的に参与している。また同校では過去にNHK青春メッセージで審査委員特別賞を、音楽部門ではNHK全国学校音楽コンクール地区予選で金賞を受賞するなど、コンクール、コンテストで実績を積んできた。

康さんのスピーチ指導を担当し、日本語と日本語選択の授業を担当している同校の金星華教員は、本校生徒たちが自分の立場を主張できる場が多くない中、スピーチの分野で朝鮮学校の生徒たちが主張できる場がないかと調べていたという。その際、康さんが出場したコンクールを目にした。「このコンクールの趣旨や内容を吟味したところ、本校生徒たちが堂々と自分の意見を主張できると思い応募を決めた」(金教員)。

同コンクールでは3つのテーマが設定されている(※2)。康さんは自身が選んだテーマに沿ってスピーチのタイトル(副題)を「歌と踊りで心を繋ごう」と名付けた。本文ではまず康さんが中級部1年生だったころ、下校中に高齢女性からどこの学校に通っているかを聞かれ、十条にある朝鮮学校と答えると、「朝鮮学校?それって北朝鮮の?そんなこわい国の学校があるの?」と言われた経験が紹介される。康さんはこの時、自分と高齢女性との間に心の壁を感じたという。また高齢女性から言われた言葉が頭から離れなかったのと同時に、どうしたら朝鮮学校のことを知ってもらえるかを考えるようになったという。

この問いの答えとなり得るヒントを得たのが、自身が舞踊部のメンバーとして参加した東アジア文化フェスタだった。康さんはそれぞれが思い描くふるさとは違うとはいえ、同じ1つの舞台に立って文化を分かち合うことに大きな意味を感じ、舞台後に観客から朝鮮舞踊が素敵だった、朝鮮学校を応援しているよと声をかけられ胸が熱くなったという。

スピーチの終盤では▼大切なのはお互いを知り、心と心がつながること、▼今回の経験を通して互いの歌や踊り、文化の交流がそのきっかけになるということ、▼偏見をなくし、心の壁をこえた平和な世界を作っていくために、まずは互いの文化を知ることという自身が得た教訓が提示された。

優秀賞を受賞した康英淑さん

康さんは「今回のスピーチの内容は自分が朝鮮学校に通っていたからこそ書けた。書きたかったことはすべて盛り込んだ」としながら、「アピールしたかったのは朝鮮学校に対する偏見を持つ人々が多い中で、朝鮮学校を知らない日本の人たちが私たちの通う学校や朝鮮舞踊などの他国の文化と実際に接してみればわかることがあるということだ」「これは、自分自身が対外イベントを通じて体感したことだった」と力を込める。

康さんは最後に「ウリハッキョの生徒として自分の心境や経験を日本の方々の前で堂々と伝えられる場があまり多くない中で、今回のコンクールに朝鮮学校の生徒を代表して出られてよかった」と語った。

東京中高の校門付近に張られた横断幕

(金盛国)


(※1) 同コンクールは外務省と公益財団法人・日本国際連合協会の主催で、高等学校生徒またはこれに準ずる民族学校在学生に対し、国際連合についての主張を通して、国際理解・国際協力について考える機会を提供することを趣旨としている。

(※2) ①これから生まれてくる未来世代にとってあるべき世界の姿とはどんなものと考えるか。そのために私たちが優先して取り組むべき課題とは何か、②世界の平和と安全を守るために国連がいま果たすべき役割とは何か、③持続可能な開発目標(SDGs)に続く次の目標を掲げるとしたらどんな項目を入れるべきと考えるかの3つのテーマの中から1つを選び、スピーチを発表する。康さんは今回、①のテーマを選択した。

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