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〈本の紹介〉安く便利でおいしい食品の罠~知ったら怖くて食べられない!/南清貴著

2024年07月29日 09:00 文化・歴史

健康のための食事とは

ワニブックスPLUS新書/900円(税別)

近年、増加傾向にある発達障害の子どもや発達障害と診断は受けていないものの癇癪を起こし周りとなじめない、落ち着きがないといった困難を抱える子どもたち。著者は、これらの原因が日本の食にあるのではないかと問題提起する。

本書で取り扱う「日本の食の問題」とは、おもに食品に含まれる化学物質のことを指し、これらが健康に与える影響や化学物質が溢れている日本の現状について考察している。

例えば欧米では、自分たちの食べるもの、農作物に使われる農薬、家畜に与えられる餌に、消費者が厳しい目を向ける。ところが日本では、複数の食品添加物、化学物質が使われた超加工食品で、当たり前のようにおなかを満たす人が増えていると、著者は説く。現在、日本人の4人に1人が1週間まったく自炊をしないという推計もあり、そうした場合に、恐ろしいほど化学物質が含まれたスーパーやコンビニの惣菜や弁当、カップ麺などを食べているという。

こうした日本の食に対する無頓着さをあらわす例として著者は、子どもの食について指摘する。

大人は化学物質と聞くと「健康に良いはずがない」と自覚しながらも忙しさなどを理由に、致し方なく自ら選んで食しているのが現状だが、子どもの場合はどうだろうか。大人が与える食事を疑うことなく無防備に口に入れる。その結果、脳に悪影響を与え、情緒の安定を乱し、やる気を削ぎ、思考を滞らせるといわれる化学物質が体内に入っていく。そればかりか、アレルギー疾患を引き起こす可能性まで高まるという。

本書では、このような実例をあげ日本の食の実態を科学的に分析したうえで、「これだけは摂るのをやめよう」という14の物質を、その理由と共に示している。

このほかにも、「安くて便利な食品」を使わない栄養バランスの整った食事の作り方やスーパーでどんなものを購入するとよいか、食事づくりの足しになるアドバイスなどが収録されている。

読んだ後には、スーパーのかごに入れるものがきっと変わるだろう。自炊の敷居が高くともまずは、商品ラベルの裏を確認してみてはどうだろうか。

(蘭)

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