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〈時事エッセー・沈黙の声 49〉先住民明記の施策推進法から5年、アイヌの今/浅野健一

2024年07月20日 06:00 寄稿

半世紀、同胞にアイヌ復権訴え

アイヌ民族を法律として初めて「先住民族」と明記した「アイヌ施策推進法」が施行されて5年が経過した。同法は付則で施行5年後の見直し検討が定められているが、国会ではほとんど議論されていない。一方、杉田水脈衆院議員(自民党)が2016年、国連の女性差別撤廃委員会に参加した際にブログに、「チマ・チョゴリやアイヌの民族衣装のコスプレおばさんまで登場。完全に品格に問題があります」と投稿。日本会議系の団体を中心に、「アイヌ差別はない」というデマ宣伝が続いている。

民族の精神、文化伝える

杉田氏について、札幌法務局に人権救済を申し立て「人権侵犯」認定を得た多原良子・一般社団法人「メノコモシモシ」(アイヌ語で目覚める女性の意味)代表は「北海道の前回調査で、アイヌ民族の人数は1万3千人ほど。世界の人口から言えば絶滅に近い数だ」と話す。アイヌということを表に出さず(出せず)生活を送っている人も多いと思われる。

アイヌの人々はいま、どういう状況にあるのか。私は7月2日、北海道白老郡白老町の宇梶静江氏(91)を訪ねた。

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