人心つかむカリスマ性、関係改善の努力/2回にわたり主席と会見 菱木一美さんに聞く
2024年07月08日 10:58 対外・国際金日成主席は生前、136カ国の延べ7万余人もの外国人と対面し、対外活動を精力的に繰り広げた。その中でも、祖国解放後に会った日本人士の数は1千人を超える。金日成主席が対面した日本人士は、政界、経済界、学界、メディア関係、文化人、学生など多岐にわたる。2度にわたって主席と対面した元共同通信外信部長で広島修道大学名誉教授の菱木一美さんに話を聞いた。
菱木さんは、1982年に初めて訪朝し、金日成主席生誕70周年記念式典に出席した。当時、主席生誕70周年を記念して大同江岸にチュチェ思想塔が建立され、その除幕式(4月15日)に出席した。当時の金一副主席が朝鮮建国の精神である「チュチェ思想」の意義を強調する演説を行った光景が今も記憶に刻まれているという。
金日成競技場では全国から10万余人の各地域、職場代表が参集の記念大会(同16日)が行われた。
当時の光景について菱木さんは「オートバイで隊列を組んだ総聯の青年代表団の団長がスタジアム上段に駆け上がり、金日成主席へ忠誠を誓う書状を主席に直接手渡すと、主席は青年の頭をしかと抱きかかえ『よく来てくれた』とばかりに大きく揺さぶりました。青年は主席の胸にしがみついて号泣しました。参集した数万人の代表たちももらい泣きをしていました。人心をつかむ主席の強力なカリスマ性を実感した瞬間でした」と振り返る。
菱木さんが金日成主席と最初に対面したのは1985年9月15日。川勝伝南海電鉄会長(当時)に同行したときだ。川勝会長は日本の財界首脳として初めての訪朝。日朝経済協力の道を開き、両国関係改善への橋渡しをするため、朝鮮を訪れたという。