北海道初中高オモニ会「オモニのキムチ」/4年目迎え、右肩上がりの学校還元額
2024年06月11日 09:02 民族教育“皆に会いたい、そして使命”
2021年に始まった北海道初中高オモニ会によるキムチづくり。学校の財政支援の一環で始まったこの取り組み、実は過去3年間で右肩上がりの学校還元額を記録している。無添加で味がピカ一だと、購入者がこぞって太鼓判を押す「オモニのキムチ」のいまに迫った。
熱意と確信に後押しされ
北海道初中高オモニ会では代々、物品販売を通じた財政支援を中心に、学校支援の主力を担ってきた。その一環で、月に1度、キムチ漬けを行い、販売し始めたのが21年4月のことだ。学校はもちろん、地域でイベントがあるたびに物販を行ってきたオモニ会の活動は当時、コロナ禍の中で非常事態に陥っていた。そんな中、20年、21年と会長を務めていた李慧娘さん(現会長、12期卒業生)に、「北海道朝鮮学校を支える会」事務局次長の松倉由美子さんが打開策を「提案」。それが、手づくりキムチの販売だった。
松倉さんの夫で、「支える会」を発足した故・鈴木芳雄さんは生前、同校に寄り添い続け、朝鮮学校の処遇改善に取り組んできた。かれの遺志を継ぐ思いで、学校支援の方法を考えていた松倉さんは、同校の対外交流イベント「アンニョンフェスタ」で販売されていたオモニたちの手作りキムチに目を付けた。フェスタでは市民らが列をつくり並ぶほど、毎回人気商品だったキムチは、当時既に約1トンの販売量を誇っていたそう。何よりも、営業の仕事についていた松倉さん自身が「おいしい」と感銘を受け、「この活動で朝鮮学校の支援をできるのではないか」と考えたそうだ。手づくりキムチを販売し、その収益を学校へ寄付する活動をしたいという松倉さんの熱意とかのじょの味に対する確信に後押しされ、オモニ会が始めた取り組みは、今では同校財政支援の根幹を担っている。
過去、本紙の取材に対し、在日朝鮮人に対するヘイトスピーチやヘイトクライムが横行する社会の状況を解消するには「朝鮮や朝鮮学校を知り、つながった人々が、ありのままの姿を正確に伝えていくのが一番」だと語っていた松倉さん。「オモニのキムチ」の販売事業はまさに、有言実行の一例だろう。