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米国の対朝鮮敵視政策に反対/首脳会談に見る中ロの情勢認識

2024年06月01日 07:00 対外・国際

中ロ共同声明に署名した習近平主席とプーチン大統領(ロシア外務省のXから)

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領と中国の習近平主席は5月16日、北京で首脳会談を行い、中ロ国交樹立75周年に際した「新時代の全面的戦略協力パートナーシップ」の深化に関する共同声明に署名した。共同声明は、中ロ関係が非同盟、非対立、第三者を標的にしないという特徴を備えているとし、2国間関係の発展とともに公正で合理的な多極化世界の構築のために力を結集していくとした。

共同声明には朝鮮半島問題に関する中ロの立場も示された。共同声明は、朝鮮情勢の悪化を招いている米国の対朝鮮敵視政策を問題視し、米国に対して状況改善のための具体的な措置をとることを求めた。

威嚇、制裁、抑圧の放棄を

朝鮮半島問題に関する近年の中ロの立場は、朝鮮半島情勢に緊張をもたらす米国への非難と、米国の政策転換に対する要求で一貫している。

この立場は昨年3月の中ロ首脳会談(モスクワ)後に発表された共同声明でも示された。当時の共同声明は「朝鮮半島情勢について懸念を表明し、関連当事国が冷静さと自制を保つとともに状況緩和に努めるよう促す」としながら、米国に対して「対話再開の条件を整えるため、具体的な行動で朝鮮の正当かつ合理的な懸念に応えるべきである」と指摘した。

米国は原子力空母カール・ビンソン(写真、連合ニュース)を朝鮮半島周辺での海上訓練に動員するなどして地域の軍事的緊張状態を煽っている

しかし、米国はその後も追随勢力と共に朝鮮に対する軍事的威圧行為を継続し、朝鮮半島と地域の情勢を一触即発の核戦争危機へと追いやった。これに対して朝鮮は自衛的な戦争抑止力の強化に拍車をかける一方、対中、対ロ外交を活発に行いながら反帝自主の闘いにおいて共同戦線を張る中ロとの結束をいっそう深めた。

金正恩総書記は昨年9月にロシアを訪問し、プーチン大統領と2019年以来4年5カ月ぶりとなる朝ロ首脳会談を行った。また、今年4月には平壌で中国の全国人民代表大会常務委員会の趙楽際委員長を団長とする中国党および政府代表団を接見し、習近平主席に送るあいさつを伝えた。

朝鮮の主導的な対外活動の過程で朝中ロの結束が強まる中、ロシアと中国は国連安全保障理事会において対朝鮮制裁の見直しで共同歩調を見せ、結果的にロシアの拒否権行使によって国連安保理「対朝鮮制裁委員会」傘下の専門家パネルが活動を終了(4月30日)した。他方で、それぞれ台湾問題とウクライナ問題に代表される米国の封じ込めに対抗する中ロは、国際安全保障の確保と多極的世界秩序の確立に共同で取り組んでいく立場を固めていった。

昨年9月、金正恩総書記がプーチン大統領と会談した(朝鮮中央通信=朝鮮通信)

中ロは今回の共同声明で、「米国とその同盟国の軍事分野における威嚇行動、朝鮮との対立の扇動、武力衝突につながりかねない朝鮮半島の緊張のエスカレーションに反対する」との立場を表明。そのうえで、米国に対して軍事的緊張を緩和し、好ましい条件を作り出すための効果的な措置をとり、威嚇、制裁、抑圧の手段を放棄し、相互尊重と互いの安全保障上の懸念を受け入れるという原則に基づき、朝鮮とその他の関連諸国との間の交渉プロセスの再開を促進するよう求めた。また、共同声明には、「政治的・外交的手段が朝鮮半島のすべての問題を解決する唯一の道であることを繰り返し、国際社会に対して中ロの建設的な共同イニシアティブを支持するよう呼びかける」と明記した。

中ロはこのほかにも、軍事力拡大や軍事グループの結合によって北東アジアのパワーバランスを変えようとする米国の覇権主義的行動、その冷戦思考や陣営間対立にも反対していくとした。

昨年3月の中ロ共同声明と比べ、今回の共同声明は米国の対朝鮮敵視政策に対する牽制を鮮明にしたと言える。労働新聞5月19日付は、プーチン大統領の訪中と中ロ首脳会談、共同声明の中心内容を報じた。

(朝鮮新報)

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