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第4回トークイベント・ウリエミレ2024

2024年06月28日 11:14 主要ニュース 総聯

朝鮮学校で学べることとは

学校創立100周年に向けて千葉県唯一の民族教育の場を存続させるそのために総聯千葉・千葉支部が今できることとは―。同支部常任委員らが、協議を重ねた末に、2022年から始動した企画がトークイベント・ウリエミレ(私たちの未来)だ。企画名通り未来を見据えた同支部の取り組みは、県内外の同胞から注目を浴び、今回、4回目の開催(6月23日、千葉初中)となった。

左から白赳栄、安英学、李智寿、宋修日さん

朝鮮学校は時代遅れ?

同イベントは、金正恩総書記が総聯第25回全体大会の参加者に送った書簡「各階層の同胞大衆の無限の力によって総聯隆盛の新時代を切り開いていこう」の精神に従い、同支部では、総聯と在日朝鮮人運動の生命線である民族教育を固守し、発展させるためにトークショーの開催を通じて、①多くの児童・生徒を千葉初中へと引き入れること②千葉初中卒業生らの朝高、朝大への進学を促すことを目標としている。

これらの目標を達成するためにトークショーという形をとったのには、あるきっかけがあったという。総聯支部副委員長の尹泰俊さんが同胞知人と食事会をしたときのことだ。朝鮮学校を見くびり、侮るような言葉を浴び、日本学校に通う同胞学生について「だれだれの息子は東大やら慶応大学に入学した」など日本の大学進学を称賛する一方で、朝鮮学校は時代遅れだという意見を聞かされた。しかし、尹さんは千葉初中と朝大に3人の子どもを送る親として、「今の朝鮮学校を取り巻く教育環境、かれ・かのじょらの精神世界は過去のそれとは異なる。わが子の進学や将来を考える親世代に、今の朝鮮学校の姿をしっかり伝える場を設けたいと思った」という。尹さんの思いに触れた支部委員らの賛同によりトークイベントが実現した。

魅力の再発見、再認識

第1回目(23年2月)から一貫して、同イベントのキーワードは「朝鮮学校の魅力の再発見」だ。同支部では、参加者、特に親世代が今の朝鮮学校の姿をしっかりと認識することが大切だという問題意識の下に、トークショーのゲスト選考を入念に行った。

第1回目には、朝鮮大学校外国語学部の李英哲教授が「世界が多極化しているなかでの朝大生の変化」というテーマで尹さんとトークショーを行った。

第2回目(23年6月)は朝鮮大学校政治経済学部の李泰一学部長と、千葉初中卒業生であり、朝大政経学部法律学科を卒業し、現在明治大学大学院に在籍する張明希さん、大阪朝高、朝大政経学部法律学科を経て現在法政大学大学院に在籍する池理駆さんが「朝大政経学部の司法試験合格率」や「弁護士を志すうえでの精神的支え」などといった様々なテーマで話を繰り広げた。

第3回目(24年1月)は1回目のゲストである李英哲教授と千葉初中卒業生であり、朝大理工学部を卒業し、現在は筑波大学大学院生の姜悠香さん、そして四国初中で初級部、中級部時代を過ごした朝大政経学部4年の金禮雅さんを招き、過少学級の実体験者ならではのトークで朝鮮学校の魅力を伝えた。

第1回目のトークショーでは、朝大卒業生の就職後の活躍などのデータを基に日本の大学に劣らない魅力が朝大にあるということ、第2回目、3回目のトークショーでは、現役の学生たちの言葉を通じて参加者らが「今の朝鮮学校で育まれること」について改めて考える機会になった。

そして、第4回目では、よりテーマを狭めて、スポーツを通じて朝鮮学校の魅力を探った。

朝大ラグビー部に所属する李智寿さん(体育学部2年)は、大阪中高・高級部ラグビー部で主将を務め、国体大阪府代表に選出されるほどの実力の持主だ。ラグビー名門大学からのオファーを断ってでも、朝大に進学したのは、「高1の時に『全国』大会に大阪朝高(当時)が出た時に同胞たちの声援を受けた。また高3の時に出場した国体の試合に試合開催地の栃木の同胞たちが応援に駆けつけてくれた。地域は違くても朝鮮学校に通っているということで温かい声援を送ってくれる同胞たちと出会い、同胞社会の支えの中でラグビーをすることにやりがいを感じたから」と話した。今も応援してくれる同胞たちの期待に応えられるように練習に励んでいるという。

元サッカー朝鮮代表の安英学さんも高級部時代を振り返り「高1の時に朝鮮学校も高体連に加盟し、日本の高校と試合をすることになった。同胞たちの注目度もおのずと高まるなか、チームメートの間では、不祥事を起こしたら試合に出られないという小さな意識の変化が起こり次第に同胞たちの期待に応えたいという気持ちが芽生えていった」と話しながら、朝鮮学校を取り巻く環境の変化がプレーをするうえで、これまでにない気持ちになったと話した。

 

一方、国際舞台で活躍する同胞選手を一番間近で見ている朝大体育学部の宋修日学部長は、学生アスリートたちの精神世界を紹介した。「国際大会に臨む際、学生たちは決まって、支えてくれた家族をはじめとする同胞たちに恩返しをしたい、同胞たちに勇気を届けたいという思いで試合に臨む。現役の同胞アスリートたちの多くは、幼いころに安英学さんをはじめとした同胞プロアスリートの姿を見て夢を抱き、そして次は自分も子どもたちに夢を与える存在になりたいと語っている」と話した。

また、トークショーでは朝鮮学校でプロアスリートを目指すメリットや実際に立ちはだかる困難なども話された。ゲストらは、プロになるうえで、設備が整った環境で練習に励むことだけが大切なのではなく、朝鮮学校でしか得られないメンタリティーはアスリートにとって大きな強みになると話した。

参加者らは、ゲストらのトークを通じて、スポーツに限らず、子どもがどのような目的をもって生きていくかということについて考えを深めた。

千葉初中に子どもを送る金紗瑛さん(51)は「社会に出て夢を実現するためには、スキルだけではなく、強い気持ち、逆境を跳ね返す胆力、仲間を鼓舞する力、何のために生きるのか、自分は何を実現したいのかという動機付けが大事だと改めて感じた。これらは、ウリハッキョに通って、自分のアイデンティティーを学び、同胞社会に触れてこそ育まれるものだ」と感想を話した。

「変わりゆく朝鮮学校の実態と、活躍する現役の学生の声を聞いて参加者らも自身も一緒に朝鮮学校への認識をアップデートしていこう」

そう呼びかけられ、イベントは幕を閉じた。同支部では今後も、児童・生徒募集事業に尽力し、トークイベント・ウリエミレも引き続きパワーアップさせていくという。

トークショーでは質疑応答も行われた

(李紗蘭)

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