〈インタビュー〉ロシア科学アカデミー東洋学研究所朝鮮・モンゴル担当部長
2024年05月25日 06:00 対外・国際“朝ロ関係の強化は自主への道を示す”/交流、協力はダイナミックに発展
昨年9月に行われた朝ロ首脳会談を機にさまざまな分野で両国間の交流が活発化し、協力関係が強化されている。朝ロ関係の現在地や今後の展望などについて、ロシア連邦最高研究機関であるロシア科学アカデミーの東洋学研究所朝鮮・モンゴル担当部長を長年務めるアレクサンドル・ヴォロンツォフ氏にオンラインでインタビューした。(聞き手・李永徳)
Q. 2国間関係の現状をどのように見ているのか。
両国の間には長年にわたる友好の歴史があるが、現在は非常に良好な関係にあると言える。その理由はいくつかあるものの、強調すべきことがひとつある。われわれは、ウクライナにおけるロシアの特別軍事作戦(2022年2月~)に対して朝鮮が示した強いサポートに感謝しているということだ。これについては詳しく述べる必要がある。
22年3月と23年2月、朝鮮はウクライナにおける特別軍事作戦を実施したロシアを非難する国連総会決議に反対票を投じた。当時、朝鮮はロシアに対する非難決議を反対した数少ない国のひとつであった。朝鮮はまた、22年7月にドネツク人民共和国とルガンスク人民共和国の独立(※)を認めて外交関係を樹立し、同年10月にはウクライナ東南部4州(ドネツク、ルガンスク、ヘルソン、ザポロジエ)における住民投票の結果を公式に支持、4州のロシアへの統合をいち早く承認した。
それだけではない。23年1月には朝鮮労働党中央委員会の金与正副部長が談話を発表し、ウクライナに軍事装備を提供する米国を非難するとともに「国家の尊厳と名誉、国の自主権と安全を守るための戦いに決起したロシア軍隊と人民といつも同じ塹壕に立つ」との立場を表明した。ロシアに対する朝鮮の強力かつ一貫した支援は2国間関係に新たな弾みを与えた。一方、米国に追従した韓国はロシアに対する制裁に加わり非難の声を高めた。結果的に朝鮮はロシアにとって重要なパートナーとなった。
両国の交流、協力関係は今後もダイナミックに、非常にポジティブに発展していくはずだ。今年はロ朝政府間の貿易経済・科学技術協力委員会第11回会議がロシアで行われ、プーチン大統領の訪朝も予定されている。
(※)14年、ロシア系住民が多く住むウクライナ東部のドネツク州とルガンスク州は住民投票を行い、独立を宣言。ウクライナは両共和国に反対し、ウクライナ軍と「ネオナチ」と呼ばれる極右分子による民兵組織がロシア系住民を攻撃した。
Q. 米国一極支配の衰退、国際秩序の多極化において、朝ロ関係、両国の第三世界との連帯強化はどのような意味を持つのか。