〈文芸同結成65周年〉朝鮮音楽の祝典・出演者の意気込み
2024年05月10日 15:20 文化・歴史 文化同胞たちに感動を届ける一心で
在日本朝鮮文学芸術家同盟(文芸同)結成65周年を記念した朝鮮音楽の祝典「祖国の愛はあたたかい」の合同練習が5日、東京中高で行われた。
合同練習に参加した出演者たちは、多様な音色を収斂させていく過程で団結力をいっそう高めていた。実力の程度を問わず朝鮮の文化芸術を愛する人々を広範に網羅する文芸同ならではの合同練習には、様々な同胞たちの姿と思いがあった。
学生時代に大音楽舞踊叙事詩に出演した辛順子さん(73)は「その体験をもう一度」との思いで昨年9月の朝鮮創建75周年大公演「われらの国旗」に参加した。「多くの同胞たちと大きな舞台で感動を共有することができた」と、大公演を振り返る辛さんは本公演の知らせを聞いてすぐ合唱団参加を決めた。辛さんは練習に参加しながら「今回は以前の大公演に比べてプロが多く、レベルが高いと感じている」とし、「自分の実力を高めて追いつくためにも積極的に学んでいきたい」と話す。また、「『祖国の愛はあたたかい』は、いつ聞いても胸が熱くなり涙がこみ上げてくる。しかし、出演者として最後まで歌い切るために涙はグッとこらえて、同胞たちに感動を届けたい」と意気込んだ。
本公演に高音チョッテ奏者として出演する曺賢順さん(35)は昨年10月に出産し、この日はベビーカーを押して練習場を訪れた。「育児で大変だけど、公演に参加できるように夫が全面的にサポートしてくれている」という曺さんは結婚を機に広島から東京に引っ越してきた。そして、2年前に開かれた「朝鮮音楽の祝典2022」への出演をきっかけに女性同盟東京が運営する民族器楽クラブに加入した。「技術の維持向上だけでなく、同胞たちとの繋がりを持てる」との思いで、愛好家たちと共に月1回の練習に参加している曺さんは「朝鮮の名曲たちを披露する今回の公演を、出演者や観客たち全員で楽しめる場にしたい」と抱負を語った。
神奈川朝鮮吹奏楽団の車世理さん(18)は「『勉強だけに集中せずに音楽もやってみたら』という同楽団の責任者を務める金殷真先生(神奈川中高音楽教員)の言葉」がきっかけで出演を決めた。神奈川中高を卒業し、吹奏楽団に入団して初めて大舞台に立つ車さんは「朝鮮の音楽は自分が朝鮮人なんだという自覚を思い起こしてくれるもの。演奏を通じて、自分を育ててくれたウリハッキョと同胞社会に貢献したい」と力を込めた。
(高晟州)