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〈学美の世界62〉0歳児の模索と試行錯誤/琴善鈞

2024年03月19日 11:30 寄稿

時に表現者として、時に鑑賞者として学美と関わり続けてきた筆者だが、2022年度に茨城初中高の図工美術教員に赴任してからは、児童、生徒たちの助言者、そして審査員という新たな立場で学美に携わることとなった。さらに23年度、11年ぶりに茨城朝高美術部が発足し、高級部美術部顧問という新たな立場を得た。自分自身にとって学美との関わり方が大きく変化した2年間だった。

児童、生徒たちの制作活動を間近で観察し、その紆余曲折や試行錯誤の過程を垣間見ることができる環境は贅沢極まりないもので、とりわけすべてが手探りの中で進められた美術部初年度の活動は、生徒と自身にとって新たな気づきや価値観がアップデートされるきっかけにあふれるものだった。

茨城朝高美術部はまだ1歳にも満たず自らの進むべき道を現在進行形で模索している。そんな0歳児の模索のアーカイブとでもいうべき作品たちを紹介しよう。

作品①「色づいて」。第50回学美金賞、茨城初中高高1 李希瑛

この作品と対峙すると先ず画面上の目と鑑賞者の目が合ってしまう。人差し指と親指で作った輪の奥からじっと目を凝らしてこちらを見つめている。目を中心に二筋のカラフルな螺旋が旋回し、画面上部からは対照的に黒く濁った液体が垂れている。この瞳には一体どんな世界、どんな私が映っているのだろうか?

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