「灯火」を消すまい/留学同兵庫による綜合文化公演
2024年03月08日 17:30 暮らし・活動在日本朝鮮留学生同盟兵庫地方本部が主催する綜合文化公演「灯火」が2月18日、神戸市内で開催された。公演はサムルノリ、演劇、活動報告、アピール、合唱で構成された。
オープニングは学生らが楽譜から作り上げたサムルノリで飾られ、演劇へ。演劇の主題は、「在日朝鮮人にとって名前とは」であった。その内容は、日本学校出身生の明実(ミョンシル)が留学同と出会う場面から始まる。出自を隠すように生きてきた明実は、民族教育を受けてきたかれ・かのじょらと自分の「違い」に葛藤を抱く。自分の中の「民族」や「名前」を必死に取り戻そうとするが、一方でかれ・かのじょらは無自覚に明実を傷つけてしまう。
演劇は、留学同活動をストレートに扱った内容でそれぞれの背景を持った学生たちが、苦悩を抱きながらも「灯火」を消すまいと葛藤する姿が描かれた。
本公演は関東大震災・朝鮮人虐殺から100年、朝鮮戦争停戦から70年、阪神教育闘争から75年が過ぎた今、日本政府が自らの加害の歴史を省みず、植民地支配清算がなされていないばかりか「民族名を使いにくい」社会の中で、私たち在日朝鮮人がどのような選択をしていくべきなのかという問題意識のもと開催された。
観客からは、「本名を用いることが一人ひとりの『灯火』、日本社会に対する抵抗になるのではないかという、主題をよく表した内容になっていた」「『朝鮮人性』『民族性』とは何かをもう一度考えさせられた」「朝鮮人が朝鮮人として生きようとする、朝鮮名を名乗ろうとする、それに対してあらゆる方面から止められ、否定される現実が非常に辛かった」などたくさんの反響があった。
演劇に出演した張遼司さん(20)は、「演劇に出演するのは初めてで本番はとても緊張したが楽しむことができた。台本の読み合わせや劇の練習過程は、自分自身の本名、在日朝鮮人としての本名について深く考えるきっかけとなり、その思いを演劇という形で表現できて良い機会となった。これからも引き続き考えていきたい」と話した。
公演は留学同の同胞学生を網羅していく活動、研究活動、対外活動など日常的な活動に関する紹介、アピール、合唱で幕を閉じた。
【留学同兵庫】