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都・区・市議と都民が意見を共有/補助金支給再開を求める集会

2024年02月12日 10:00 権利

2日、東京都品川区のきゅりあん(品川区立総合区民会館)で、「こども基本法」「東京都こども基本条例」から学ぶ交流集会「すべてのこどもに差別のない未来を手渡すために」(主催=すべてのこどもに差別のない未来を・東京南部の会)が開かれた。区内在住の同胞や市民ら約100人が参加した。

2日の集会で行われたクロストーク

集会に先立ち、だいろく友の会(主催団体の母体)の谷口滋共同代表があいさつをした。谷口共同代表は「朝鮮学校の子どもたちが、差別を受けることなく教育を受けられる社会を実現するために、今日をきっかけに多くの人が朝鮮学校の学びを支援するようになってくれることを願う」と話した。

つづいて、朝鮮学校「無償化」排除に反対する連絡会の長谷川和男共同代表と在日本朝鮮人人権協会の宋恵淑さんによるクロストークが行われた。

過去、67校(当時)の朝鮮学校を直接訪ねた経験を持つ長谷川共同代表は、そのとき撮影した写真や児童、教員とのエピソードを交えながら、朝鮮学校の魅力や補助金停止の不当性について語った。

宋恵淑さんは、補助金の凍結のみならず、日本政府からコロナ禍の休校要請があった後、学校再開時のサーキュレーター購入費や修学旅行のキャンセル費補助などの対象から除外されたことや、スクールゾーンの設置が実現している学校が少ないことなど、保健衛生面や交通安全対策面の保障においても、朝鮮学校が各種学校に分類されているため行政から平等な支援を受けていない現状について説明。そのうえで、「東京都こども基本条例」と「こども基本法」の原則・理念について解説し、「都は条例を制定したなら、決まりに則り差別を是正するべきだ」と強く訴えた。

その後、東京第6初級の金炳虎校長による学校紹介では、1947年に創設された同校の沿革や、朝鮮学校の教育理念、授業内容などについて説明された。金校長は「地域共生を目指すわが校の門はいつでも開いている。ぜひ一度足を運び、学校をその目で見てくれたら」と学校への理解を求めた。

また、同校オモニ会の趙成喜会長(41)が保護者を代表し発言。朝鮮学校で9年間教員を務めた経験のある趙会長は、学校関係者や子どもたちが抱える悩みについて語り、参加者に学校への支援を呼びかけた。

交流集会では、24人の議員たちに発言の場が設けられた。

奈須りえ・大田区議(フェアな民主主義)は、「朝鮮学校の問題は日本人の問題であると身をもって感じた。日本社会では日本と朝鮮半島にまつわる歴史的な背景を否定する風潮があるが、朝鮮学校の歴史について深く理解する必要があり、民族を越えて団結することが大切だと思う」と語った。

ひがしゆき・品川区議(立憲民主党)は、「すべての子どもたちに平等に権利が与えられるように、区議会の他党の議員とも力を合わせ、区でできる政策を考えていきたい。朝鮮学校差別の実態を把握し、都や日本政府に声を上げていく」と語った。

この日の集会に参加した大田区在住の安田雄一郎さん(42)は、「都民を巻き込んだとても意義のある集会だった。在日朝鮮人に対する根強い差別をなくすためにも、このような動きが広まっていくべきだと思う」と話した。

1万6千筆の署名集まる

6日の緊急集会で、4人の議員が都民からの質問に回答した

一方6日には、「朝鮮学校に補助金復活を求める一万人署名もう一歩!2.6緊急集会」が府中市市民活動センターで開かれ、264人が参加した。「都議会勉強会」実行委員会、東京都こども基本条例を学ぶ「地域連続学習会」、府中市市民活動センター登録団体で、08年以来西東京地域の朝鮮学校を支援するチマ・チョゴリ友の会が合同で主催した。

この日の集会は、朝鮮学校を支援する市民団体が発起人となり昨年11月16日に始めた、朝鮮学校への補助金凍結解除を求める都民署名へさらなる賛同を募り、署名の第2次提出に向け、運動の気勢をさらに上げることを目的に開かれた。

主催者を代表しあいさつした猪俣京子さん(「都議会勉強会」実行委員会事務局)は、署名運動が始まった経緯を説明し、署名への賛同を呼びかけた。また、6日午前の段階で、用紙とネット合わせ16062筆の署名が集まったことを報告した。その後、長谷川和男さんと日朝友好促進東京議員連絡会の保坂正仁共同代表(公明党、荒川区議)が連帯のあいさつをした。

上村和子さん(国立市議)が、都議会の現状と署名運動の経過について報告をした。上村さんは、昨年12月25日の第1次提出で8232筆の署名が都知事宛に提出され、今月15日までに集めた署名を20日に第2次提出すると発表。また、都議のうち半数近くが補助金停止問題の再考に賛同していると報告した。

集会では、署名運動に参加している都民たちによるリレートークが行われ、府中市、立川市、国立市長から寄せられたメッセージが紹介された。

ミニシンポジウムでは、都民から寄せられた補助金復活に向けた予算についての働きかけ、「東京都こども基本条例」の内容、「こども基本条例」に基づいた超党派議連の結成などに関する3つの質問について、6人の都議(2人はビデオ参加)が回答した。

和泉なおみ都議(日本共産党)は、「こども基本条例」を抜粋し、「条例は議会が提出し、全会派一致で成立したからこそ、議会には都にこの条例の理念を守らせる責務がある。補助金復活を求め、みなさんと共に全力を尽くしていく」と語った。

第2部の公演は盛況を博した(6日)

また、須山たかし都議(立憲民主党)は、「特定の民族に差別が向けられる社会の現状を変えなければならない。都民の代表として、都民や当事者である子どもたちの声を都議会に届けていく」と発言した。

第二部では、在日朝鮮人アーティストの李政美さん、朴保さんらによる歌のステージが披露され、朝鮮民謡やアーティスト自作の歌が披露された。会場は今後の運動に向けいっそう連帯し、共に取り組んでいく決意で包まれた。

知人の誘いを受け集会に参加した金成康太さん(32、府中市在住)は、補助金停止の事実をこの日初めて知った。金成さんは「都知事は都合のいい話にだけ耳を傾けるべきではないと思う」とし、「話を聞いて現状を知ることの大切さを痛感した。今後も関心を持っていきたい」と話した。

(朴忠信)

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