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民族教育の発展見守る桜の木/愛妻への思いを胸に寄贈

2024年01月21日 09:00 民族教育

愛知中高に桜の木を寄贈した李相才さん(中央)、「春めき」開発者の古屋富雄さん(写真左、写真は11月に同校で植樹された際に撮影したもの)

昨年11月から今年の1月にかけて愛知中高と京都初級の敷地に11本の桜の木が植えられた。地に根を張り、数々の枝から綺麗な花を咲かせる桜のように、異国の地に根差した民族教育が花開き続けるように-。2校の朝鮮学校に寄贈された桜の木にはこうした願いが込められた。

突然の旅立ち

今回、愛知中高と京都初級に桜の木を寄贈したのは京都府在住の李相才さん(72)。昨年6月、約50年間連れ添った最愛の妻・李秀子さん(享年69)を亡くした。

6月4日、いつもと変わらず、夫婦で朝食をとっていたなか、秀子さんが突然倒れた。秀子さんはすぐに救急搬送されるも、意識を取り戻すことなく、2日後に相才さんのもとを旅立った。

「50年近く共にした伴侶がたった2日でいなくなるなんて。命の軽さに耐えれなかった」(相才さん)

妻を失った深い喪失感と悲しみが襲うなか、妻が遺したお金が見つかった。決して小さな金額ではなかった。相才さん自身、秀子さんが生前それをどのように貯めていたのかを知らなかった。

京都初級に植えられる桜を見る李相才さんと金基振さん(右)

そんな中、友人の金基振さん(73)が京都初級に桜の木を寄贈していたことを知った。相才さんは直感的に「これだ!亡き妻とゆかりのある朝鮮学校に桜の木を植樹しよう」と思い、かのじょが遺したものを桜に変えることに決めた。子どもたちに相談したところ、「オモニの思い出をそのような(桜の木)形で遺してくれることが嬉しい」と、感謝と賛成の言葉が返ってきたという。

こうして相才さんは、秀子さんとゆかりのある愛知中高、京都初級に桜の木を寄贈することを決意した。

愛校心育むきっかけに

 

愛知中高には8本の桜の木が植えられた(右端)

相才さんと秀子さんの出会いは富山だった。日本学校を卒業した相才さんは朝青専従活動家の誘いをきっかけに民族を知る。高校卒業後は大阪、富山で朝青専従活動家に。一方、富山出身の秀子さんは、北陸初中を卒業後、愛知中高・高級部に進学。3年間の寄宿舎生活を経て、卒業後は富山で午後夜間学校の講師を務め、富山の同胞たちに民族の言葉を教えた。富山で出会い、結婚した2人はその後、京都に引っ越し子どもたちを朝鮮学校に送った。

桜の木の贈呈を2校にしたのは、

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