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民族の誇りを世界へ/テコンドー世界大会で金の朴春蘭さん

2023年12月06日 13:30 スポーツ

同胞テコンドー選手の朴春蘭さん(47)が、今年8月に行われた第22回テコンドー選手権大会(カザフスタン開催)に国際テコンドー連盟日本協会の代表として参加、ベテランゴールドクラス(45歳以上)の個人トゥル(型)・女子一段で金、個人マッソギ(組み手)・女子54㎏級で銅を獲得した。11月28日には、居住地である滋賀県東近江市の小椋正清市長を表敬訪問し、大会の成績などを報告した。

5つの精神に感銘受け

表敬訪問でトゥルを披露した朴春蘭さん

京都府出身の朴春蘭さんは、初級部4年生で、府内の日本学校から京都第3初級(当時)に編入。同校では舞踊部に所属し、京都中高に進学後も舞踊部での活動を続けた。同校卒業後、京都朝鮮歌舞団に入団し、舞踊手として活躍。6年間の活動を経て、結婚を機に退団した。

そんなかのじょがテコンドーを始めたのは8年前のことだ。テコンドー経験者の弟からの誘いがきっかけだった。元々、武道に関心があり、「在日朝鮮人の自分がやるなら、絶対に朝鮮の武道だ」と考えた朴さんは「型や技の名称が朝鮮語であるテコンドーに、朝鮮の歴史や魂を感じた」ことから、テコンドーに挑戦したという。

4児の母親であり、仕事と育児を抱えながら、空き時間を利用し稽古場に通いつめた。朴さんを惹きつけたのは、礼儀、廉恥、忍耐、克己、百折不屈の5つのテコンドー精神だった。朴さんは「百折不屈は、まさに私たち朝鮮民族の精神そのものだ」と誇らしげに語る。そんなテコンドーの魅力に引き込まれ、鍛錬を重ね5年間で黒帯まで昇段。その後、身体の手術によって2年間はテコンドーから離れた。テコンドーを愛してやまない朴さんは復帰後も練習に励んだ。結果、今年8月の世界大会の出場権を手にした。

大会では、朝鮮代表の選手たちが64個の金メダルを獲得し、国別メダルランキングで1位の成績を残した。初めて国際大会に出場した朴さんは、朝鮮代表の活躍を目の当たりにした。朝鮮の選手と試合をする機会にも恵まれ、「試合を控えた祖国の選手たちは集中力が並外れていた。強靭な身体に、高い技術を兼ね備えていて、白頭山の精気をまとう虎という印象を受けた」という。「朝鮮の国旗を背負い闘う選手たちは輝いていた」(朴さん)。

朝鮮学校で朝鮮舞踊を教わり、歌舞団で活動した経験があるからこそ、現在の自分がいると話す朴さんは「世界の舞台で活躍することで、同胞社会を盛り上げたい」と力強く語った。

また、テコンドーを習う在日同胞学生たちに「朝鮮民族の伝統、誇りであるテコンドーの精神を目いっぱい育んでほしい。テコンドーの素晴らしさを世界に広く伝える人材になってくれたら」と期待を寄せながら、自身もよりいっそうテコンドーの普及にいそしむ決意を語った。

(朴忠信)

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