垣根超え、成した貴重な経験/京都でクリスマスイベント
2023年12月28日 08:00 民族教育女性同盟と青商会の共催で
12月17日、京都初級を会場に行われた「あつまれオリニたち!大クリスマス会~サンタがウリハッキョにやってくる?!~」。府内に住む59家庭、延べ180人が参加し盛況を博したこの日のイベントは、女性同盟京都府本部子育て支援部と、京都府青商会が初共催した。子育て世代の同胞たちとつながり、地域ぐるみのサポートに注力する両団体にとって、同イベントは貴重な経験となった。
中央青商会が主催した2022年11月の「民族フォーラム2022」では、年々緊迫する民族教育の状況をめぐり、様々な団体間で協力体制を構築する必要性が呼びかけられた。当時の呼びかけに着想を得て実施されたのが、今回のコラボ企画だった。
「近年、オンマオリニサークルやイベントの場に、父親たちが一緒に参加する傾向があり、青商会に募集協力をしてもらうことが日常的にあった。また学齢前の児童を持つ家庭のサポートを掲げる子育て支援部と、府青商会が働きかける対象が同じだということもあり、フォーラムの呼びかけを自然な流れとして受け止めた」(女性同盟本部・丁善美子育て支援部長、46、女性同盟右京支部副委員長兼任)
その矢先、「方針が出たなら、すぐに行動を起こそう」と府青商会から子育て支援部への呼びかけがあり、今年6月にコラボイベントの開催を決定した。
実行委員長を務めた京都府青商会の朴哲世副会長(42、総務委員長兼任)によると、当初は、各女性同盟支部のサークルが主催するクリスマス会とは別に、青商会独自の同種イベントを開催しようという話も持ち上がったものの、「青商会の活動に、家族皆で触れてもらう大事な機会だ」と考え、子育て支援部へ呼びかけるに至ったという。
その後、開催が決まってからは、「互いに顔のみえる関係を作るところから始めていった」と話す丁善美部長。実行委員は、二人を除いては全員が「非専任」のため、毎週平日夜は仕事終わりに、土日は休みを返上し集まっては、それぞれが持つ名簿のすり合わせからはじまり、イベント内容や宣伝方法など協議を重ねていった。
その過程で、今回のイベントの最大の目的を「子育て世代のつながり」に置いたという。子育て支援部、青商会共に、既に把握していた対象範囲を超えて、同胞児童と子育て世代の同胞を探すことが、重要課題となっていたことが影響していた。
これと関連し、丁善美部長は「一人でも多くの同胞児童と保護者が家族同士でつながり、関係を深めることができたら。そうして同胞コミュニティに日頃から接するきっかけになればと考えた」と話し、「子どもを連れてくることを決めるのは大人だ。その大人が楽しめて、学校に行ってみようと興味がわく企画にしようと努めた」と振り返った。
連携活かし、地域活性化を
イベント当日、場内は、赤・緑・金色のバルーンといったクリスマスを感じられる装飾品で飾りつけられた。可愛くデコレーションされたフォトスポットも設置され、記念撮影を楽しむ親子の姿が随所で見られた。一方、寒さ対策として各所にストーブが設置され、授乳室やおむつ交換所も設けられたほか、両団体のメンバーたちがあらゆる場面に対応するスタッフとなり、参加者たちが不便のないよう万全な体制を敷いていた。
女性同盟京都・西南支部の子育て支援部長を務めながらも、この日は保護者として初級部1年生の末息子と共に参加した李華江さん(45)は、「これまで支部別にクリスマス会を行ってきたが、活動頻度や規模の面でバラつきが出てしまっていた。そんな中、今回コラボイベントを開催したことで、同世代の親子が互いにつながりを実感でき、共通する思い出をつくれたことが何よりも良かったと思う。新鮮で活気にあふれたイベントだった」と話した。
「本当に大変だったからこそ胸がいっぱい」と語る丁善美部長は、この間を振り返りながら「最初は青商会に誰がいるのかもわからない状態で、逆に青商会側も『子育て支援部って何』という状態だった」と吐露する。
そんな状況から始まり、今回、両団体が力を合わせたことで「活動における理想の形を追及できた」と話す丁善美部長。同氏は、「外国人のサンタを連れてくる」「豪華な装飾」「歌舞団への音響依頼」など、財政支援を全面的に担ってくれた青商会への謝意を述べながら「より多くの子育て世代を網羅するためには、学校や他の団体と引き続き密な情報交換を行い、対象と深いつながりを持つことが大事だと強く思った。この経験を、地域における団体間の連携につなげていきたい」と話した。
京都府青商会の朴哲世副会長は、「初の試みで、当初イメージしていたものが本当に形になるのかという不安があったが、実際に人が集まり楽しそうな会場をみると安心した」と安堵の表情を浮かべた。そのうえで、「参加者の中には青商会に参加していない顔もあった。こうした行事への参加は、どれだけ家族の協力や理解を得られるかが要になるが、これは、ゆくゆく我が子を学校に送る年齢になったとき、ウリハッキョに送る・送らないを判断する際にも関わってくる。人の集め方や宣伝方法など、足りない部分を補い合いながら、成すことができた貴重な経験だった」と感想を伝えた。
また今後について、「コラボイベントを無事に開催できたので、今後はコラボに形式を限定する必要はないと思う。今回構築された連携体制をいかし、互いにサポートするなど、この形を地域に落とし込み、地域活性化につなげたい。それが全組織自体の活性化につながると信じている」と意気込みを語った。
一方、京都では来年6月に、府内の同胞児童を対象とする第5回目のオリニマダン(女性同盟子育て支援部主催)が開催される予定だ。
(韓賢珠)