〈関東大震災朝鮮人虐殺100年〉苦しい政府答弁に非難集中
2023年12月02日 08:30 歴史文書の存在認めるも「虐殺の記録ない」
100年前の関東大震災当時にあった朝鮮人虐殺を巡り、11月29日の参議院予算委員会で、社民党党首の福島みずほ議員が質疑を行った。
福島議員は、11月9日の参議院法務委で提示した、100年前当時の中国人虐殺に関する文書について再度指摘しながら、外務省外交史料館に公文書として残されている同文書に関する政府の見解を問うた。
松野博一官房長官は「調査した限りでは政府内に事実関係を把握できる記録が見当たらない」と従来と何ら変わりない回答をし、これに対し福島議員は、先述の文書が「事実関係を把握する文書」ではないのかと再度問いただした。
所管管理省庁からの答弁として発言した上川陽子外務大臣は、福島議員が提示した文書が、震災翌年の1924年5月に、「当時の外務大臣から在中国公使あてに送った電報に記載された内容」であると認めたものの、「文書からは記載以上の内容を把握できない」として、虐殺の事実を確認できる記録とは認めなかった。
この文書には「当時混乱の際、在留支那人の中にも不慮の災害を被りたる者少なからざるべしと思考する」「同情に堪えざる次第なるをもって、帝国政府は善隣の好誼に顧み、慰謝料として金20万円を支出」との記述がある。当時の外務省が精査し、政府が閣議決定した同文書は、中国人虐殺の事実を前提に両国間を行き来したものとみられている。文書の存在を指摘されながらも「確定的なことを述べるのは困難」だという答弁に終始した日本政府に対し、非難の声はやまない。
(賢)