歴史を継承し、真の平和を/高暮ダム朝鮮人犠牲者を悼む
2023年11月27日 16:08 文化・歴史広島で碑前祭
日本の植民地支配下で強制連行され、ダム建設のために過酷な労働を強いられて亡くなった朝鮮人労働者を悼む「高暮ダム朝鮮人犠牲者追悼碑・碑前祭 高暮平和の集い」が11月12日、広島県庄原市高野町で行われた。総聯本部や団体の代表、広島初中高の生徒、日本の有志ら60余人が参加した。
高暮ダム朝鮮人犠牲者追悼碑は、過去の日本の植民地支配がもたらした悲劇を反省し「日本とアジアの平和を守る決意を新たにし、日本と朝鮮の両民族の変わらぬ友好を誓う」ことを目的に1995年に建立された。朝鮮人被爆者支援の第一人者で、広島県朝鮮人被爆者協議会の会長を務めていた故・李実根さんの献身と地元住民による働きかけによって建立された追悼碑の前で、99年から毎年、朝鮮人労働者を悼む碑前祭が行われている。2020年から3年間はコロナ禍の影響で人数を限定して執り行われていた。
碑前祭では初めに、主催する高暮自治会の草谷末広さんが「集いを続けてこられたのは、多くの参加者のおかげだ」とあいさつを述べた。
続いて、「ふるさと村高暮」の後藤信房館長が「今日と同じような厳しい寒さの中で、このダムは作られた。歴史を振り返るとき、過去を変えることはできないが、未来は変えられる。こうして多くの皆さんが参加して、集いができることを本当にうれしく思う」と謝意を表した。
その後、広島高校生平和ゼミナールの世話人を務める澤野重男さん、広島県朝鮮人被爆者協議会の金鎮湖会長、総聯広島県本部の呂世珍委員長があいさつを行い、広島初中高と広島高校生平和ゼミナールの生徒らが追悼文を読みあげた。
広島初中高の生徒は高暮ダム朝鮮人犠牲者追悼碑を建設し、毎年碑前祭を開く日本の有志らに感謝を述べながら、「植民地時代に罪のない朝鮮人を無慈悲に殺害、弾圧した日本政府は、補償どころか一言の謝罪もないまま、現在も高校無償化問題をはじめ、在日朝鮮人たちに対する蔑視と差別を続けている。こうして共に学び協力してくれる日本の学生、有志の皆と交流を深め、力を合わせて差別、蔑視がない真の平和な社会を築いていく」と決意を述べた。
碑前祭に続いて学習会が「ふるさと村高暮」で行われた。学習会では、高暮自治会の草谷さんが聞き取り調査で明らかになった当時の実態を報告。また碑前祭を主催する地元自治会や市民の思いを述べた。
その後、参加者たちは焼肉交流会を通じて親睦を深めた。
朝青の同盟員らと参加した朝青広島県本部の尹善璂委員長は「数年前から碑前祭への行政(庄原市)の出席、補助金が打ち切られたと聞いた。私たち青年が真剣にこの歴史を伝え、継承する義務がある」としながら、来年以降の碑前祭に多くの青年を呼び込む決意を語った。
碑前祭を主催した女性同盟広島県本部の呉栄順委員長は「誰かが被害に遭わないと痛みを感じない、気付けないし、気付かない現代の社会において、過去の痛みを共有、継承していく大切さを改めて感じることができた」と話した。
【女性同盟広島県本部】