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〈読書エッセー〉晴講雨読・解放直後の理科教科書と副読本/任正爀

2023年11月20日 09:00 寄稿

朝鮮大学校の在日朝鮮人関係資料室には、解放直後に刊行された貴重な教科書・参考書を数多く保管している。前回は教師用参考書である『一般科学Ⅰ』について所感を述べてが、今回は理科教科書とその副読本を取りあげる。

その前に、当時の教科書刊行事業について言及しておこう。解放直後、日本各地で国語講習所が開設されるが、その嚆矢といわれるのが李珍珪先生が主宰した東京の戸塚ハングル学院である。ちなみに、ここには許南麒先生もいたという。

李珍珪先生は在日本朝鮮人連盟(朝連)が結成された時に文化部次長となり、「初等教材委員会」委員長を務め、文化部が文教局(後に文教部)になり「朝連教材編纂委員会」と改編された時にも企画を担当した。この二つの組織が刊行した教材が、今日の民族学校教科書のルーツといえる。

『子供の科学のはなし』

さて、資料室には『子供の科学のはなし』と『科学学習』と題した初級3年、6年の理科教科書を保管している。1947年に発行された『子供の科学のはなし』には鉛筆で題名が書かれており、『一般科学Ⅰ』と同様に李珍珪先生が所蔵していたものと思われる。著作兼発行は朝連文教局となっている。副読本4で、1は『小学生模範作文集』、2は『イソップ物語』、3は『中等文範』である。

『子供の科学のはなし』は、初級2年生のポクナミと3年生のスニが、近くに住む金先生を訪ね、科学と関連する様々なテーマで会話を交わすという形式で書かれている。15話からなり、空気についての話から始まり、木の年輪や蛍の光、電気や雷など日常における科学に関連する事柄を、会話を通して解説したものである。表紙も乗り物や顕微鏡などのイラストが明るく描かれ、未来に向かう子どもたちに相応しい。

『科学学習』は49年に刊行されたもので、著作者は朝連教材編纂委員会となっている。

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