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和歌山初中創立65周年記念祝典/約300人の同胞、卒業生集まる

2023年11月13日 13:05 動画 民族教育

格別な思いが支える学校の今

 

和歌山朝鮮初中級学校創立65周年記念祝典「和HAHAフェスティバル」(主催=同実行委員会)が4日、同校の運動場で行われた。

1958年から始まった学校の節目を祝うこの日の祝典には、総聯中央の宋根学副議長兼教育局長、総聯和歌山県本部の金尚一委員長、学校創立65周年記念事業実行委員会の李浩一委員長、同校の金栄哲校長をはじめとする同胞、保護者ら約300人が参加した。また来賓として、朝鮮学校を支援する和歌山の会や地元の県議会議員など日本市民らも同席した。

1部の記念式典では、はじめに、2021年に発足された記念事業実行委員会の実行委員らが紹介された後、在園児と児童、生徒たちから実行委員らに花束が贈られた。

朝鮮民主主義人民共和国の姉妹校から送られてきた祝電を、宋根学副議長が紹介したのに続き、来賓を代表し、朝鮮学校を支援する和歌山の会の神谷憲次代表があいさつした。

神谷代表は、「58年の創立以来、子どもたちに朝鮮民族であることの自信と誇りを育んできた先生方や保護者をはじめ関係者らに敬意を表したい」と述べた上で、「どんな子どもに育ってほしいのか、学校や地域社会から共通の思いで見守られている」同校の子どもたちは素直に、のびのびと成長していると強調した。また今年6月、支援する会と県知事との間で面談が実現したことも報告しながら、「私たちの住む和歌山から、だれもが人権の守られる地域づくりに取り組んでいけたら。市民たちが主体となり地方自治をつくる流れを、ウリハッキョの周りから広げていこう」と呼びかけた。

つづいて各地の朝鮮学校や団体、個人からの祝電紹介の後、実行委員会の李浩一委員長が事業報告を、金栄哲校長が記念報告をそれぞれ行った。

李委員長は、21年10月に実行委員会を発足して以降、同校教育会やオモニ会・アボジ会、総聯、女性同盟など県内の全組織と団体の責任者らで構成された同実行委の委員たちは、「和歌山の地で民族教育を守る」一心で、周年事業に邁進してきたと述べた。また、年間を通じて、①同胞・卒業生1千人を直接訪ね、連携を深めること、②年間の学校行事に延べ1千人を集めること、③学校支援金1千万円を集めること―を目標に掲げ、推し進めてきた今回の記念事業において、すべての目標を超過達成したと報告した。

李委員長は「和歌山同胞社会の中心にはウリハッキョがある。今日この場は65周年を祝う意義深い場でありながら、70周年に向けたスタートの場でもある」と参加者たちに訴えかけながら、今後も皆が学校支援事業に主体的に参与し、学校発展のために尽力していこうと、引き続きの支援と協力を呼びかけた。

また金栄哲校長は、「65年の年輪を刻んだ和歌山初中の歴史は、祖国の愛情に鼓舞された1世たちの崇高な思いを、2、3世が脈々と繋いできた継承と発展の歴史であり、多くの試練と困難に立ち向かいながらも民族教育を守ってきた闘いと犠牲の歴史だった」と述べながら同胞たちに謝意を表した。そして、「ウリハッキョはどのような困難が立ちはだかろうとも必ず守るべき貴重な財産であり、私たちの未来そして希望だ」と語り、学校創立70周年を目指し、今後も和歌山初中を「全国」で名を馳せる「素晴らしい学び舎」にしたいと熱い決意を語った。

式典後、2部の記念公演があった。同校の園児・児童・生徒らが、サムルノリや民族器楽の演奏、舞踊や合唱などを堂々と披露する姿に同胞たちの歓声が飛び交い、会場は大いに盛り上がった。

参加者全員が手にしたジェット風船を空高く飛ばし、盛大に幕をあけた3部の祝賀宴。たくさんの催しの中、トップバッターは、学校創立60周年行事で披露され好評を博した同校オモニ会のチャンゴのステージだった。5年の時を経てさらにアップデートされたオモニたちの巧みなチャンゴさばきと、パワフルなダンスは参加者たちの笑いと涙を誘った。

その後も、祝賀宴では、この日のために駆けつけた大阪朝鮮歌舞団の華麗な舞踊と歌、器楽演奏や歴代教員と卒業生の紹介、アボジ会やオンマオリニサークル「メアリ」、現役の教員たちによるステージ、大抽選会など多彩な催しが行われた。一方、参加者たちの席には、オモニ会と女性同盟が手掛けたオードブル料理が並び、校舎内には、和歌山初中の歩みを振り返る写真や在校生らの記念作品の展示、朝青が制作を担った「和歌山チャランガ」のPV視聴ブースなどもあった。

記念祝典の最後には、大阪朝鮮歌舞団による朝鮮民謡のメドレーに合わせ、参加者たちが皆立ち上がり、踊りを踊る一幕も。会場の熱気は最高潮に達し、同胞たちは時が経つのを忘れたかのように、統一列車を作り全力で場内を駆け巡った。

愛おしく、誇らしいウリハッキョ

1994年から2010年まで、同校で校長を務めた金京俊さん(78)は「和歌山の特徴は、同胞や保護者たちの学校を思う気持ち。代々にわたり、どこにも負けない格別なものをもっているし、だからこそ困難な状況でもいまこの場所に学校があり続けている」と強調する。「00年代、財政難により学校運営を取り巻く厳しい局面に立たされた時、1口千円運動を率先して掲げ、打開を図ろうと声をあげたのも同胞たちだった」と語る金さんは、同校保護者らへの感謝を述べながら「県内に1つしかない学校をどう守っていくのか、その見本をこれからも和歌山が見せてくれたら」と話した。

姜貞漢さん(84、95年の校舎・寄宿舎全面改築時の建設委員会委員長)は、約60年前に1年だけ広島で教員を務め、その後、健康状態の悪化に伴い地元に戻り、朝青活動に邁進した。姜さんは「一番幼い孫が20歳になるとき、私は100歳を迎える。それまで健康に生きて、これまでと同様に、学校のために何事も頑張りたい」と力を込めた。また姜さん同様に校舎・寄宿舎全面改築の際、多額の寄付をするなどして学校を支えた李勉さん(77、和歌山県商工会顧問)は「40年近く学校のために頑張ってきたが、今日を迎えて大変幸せだ。皆さんと会えるのもこの機会があってこそ。生きている限り、ウリハッキョを応援したい」と嬉し気に語った。

来賓として参加した和歌山県議会議員の藤本眞利子さんは、過去の周年行事にも参加するなど同校と長い間交流関係を築いてきた。藤本さんは「15年前の50周年行事の際は、日本の方もたくさん来ていたが、近年は情勢なども影響し、少なくなってしまった。もっとたくさんの市民の方々に呼びかけて、日常から理解や交流を広げていきたい」と語った。

この日の祝典には、大阪や奈良といった近畿地方だけでなく、東京など遠方からも、母校の節目を祝おうと卒業生たちが参加していた。

現在、朝鮮大学校政治経済学部法律学科で学ぶ朴裕樹さん(大学2年、58期卒業)は、金剛志さん(体育学部2年、58期卒業)と金時星さん(研究院予科2年、56期卒業)と共に式典を訪れた。

朴さんは「60周年の記念行事の場で、タップダンスを披露したのが昨日のことのようなのに、それから5年が経ち、今日こうして母校の記念行事の場に共にできることが感慨深い」とステージ上で語った。そのうえで朴さんは、同胞たちの温かな空気に包まれた会場を見渡しながら「自分たちは和歌山同胞社会を、心から愛おしく、誇らしく思っている。この場所を守るために、朝鮮大学校でこれからも勉学に励みたい」と決意した。

明日14日には、65周年記念事業の主要行事のひとつ、金剛山歌劇団公演が、11年ぶりに和歌山の地で行われる。和歌山城ホール大ホールで行われ、18時開場・18時半開演予定だ。

(文、動画・韓賢珠、写真・盧琴順)

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