〈関東大震災朝鮮人虐殺100年〉大阪で講演会
2023年11月13日 08:21 歴史“どの立場から歴史を解釈するのか”
10月28日、「関東大震災から100年 在日朝鮮人を取り巻く問題を考える特別講演会」が行われ、学生、同胞、日本の市民ら60人が参加した。留学同大阪のメンバーや朝鮮文化に興味を持つ学生たちで構成される、大阪公立大学朝鮮文化研究会が主催した。
大阪公立大学杉本キャンパスで行われた講演会は、関東大震災時の朝鮮人虐殺やその後、現在まで続く朝鮮民族に対する迫害、抑圧について認識を深め、朝鮮人の奪われた生と尊厳を取り戻すための行動として企画された。
はじめに、参加者たちが、100年前の虐殺により犠牲となった朝鮮人を偲び、黙とうをささげた。
つづいて、大阪公立大学の伊地知紀子教授による特別講演「今、歴史をどのように継承するのか:関東大震災から多奈川事件まで」が行われた。
伊地知教授は、自身が研究してきた多奈川事件と関東大震災をリンクさせながら、在日朝鮮人の存在を触れにくい「社会問題」として、歴史的にまなざしてきた日本の社会状況について問題提起した。多奈川事件とは、1952年4月、大阪府泉南郡多奈川町(現在の岬町)で起きた事件のこと。「密造酒の摘発」を掲げた警察などと朝鮮人の間で衝突があり、警官に撃たれた朝鮮人1人が死亡した。
伊地知教授は、「関東大震災では6,000人以上の朝鮮人が虐殺され、多奈川事件ではたった1人の朝鮮人が警察によって殺されたが、これらは数の問題ではない」と指摘。在日朝鮮人をとりまく歴史的な文脈を理解し、「どの立場から歴史を解釈するのか、よく考えるべきだ」と強調した。
また、この日の講演会では、朝文研のメンバーによる発表(「関東大震災時朝鮮人虐殺の大阪への影響とその後の運動について」)と学生アピールがあった。
講演を聞いた金京香さん(24)は、関東大震災と同様に朝鮮人が虐殺された多奈川事件について「虐殺に至るまでの経緯がレイシズムと深く関連していると感じた」と感想を述べながら、「1人の在日朝鮮人として歴史を学び、発信していこうと強く感じた。レイシズムのない社会の実現を目指す上でも、その姿勢を持ち続けることが不可欠だと考える」と語った。
【留学同大阪】