名古屋初級で女性同盟とオモニ会OGの「ミレ給食」
2023年11月02日 13:22 民族教育子どもが卒業しても学校のために
名古屋初級オモニ会OGたちによる「ミレ給食」が10月28日、約3年ぶりに同校で行われた。
愛知県内の各朝鮮学校では、2010年から女性同盟豊橋支部が豊橋初級(当時)の児童を対象に始めた「ハルモニ給食」に端を発し、女性同盟員、オモニ会OGたちによる一日給食が行われてきた。名古屋初級でも、数年前から50、60代を中心とした同校オモニ会OGたちが児童と付属幼稚班の園児たちを対象に一日給食である「ミレ給食」を毎年行ってきたが、コロナ禍で中止されてきた。この日、約3年ぶりの「ミレ給食」を同校の教職員、児童たちも心待ちにしていた。
3年ぶりに、新校舎で
「ミレ給食」の定番メニューは民族料理のピビンパとわかめスープで、この日もオモニ会OGたちがナムルや一品メニューのチヂミなどを分担し持参してきた。OGたちは午前10時に学校に集まり、準備を開始。こだわりは具沢山のピビンバで、ほうれん草、コサリ、なます、錦糸卵、ミンチなど、たくさんの惣菜をバランスよく入れるのが「ミレ給食」流だ。OGたちはおかずを準備しながら、100食以上のピビンバを一つひとつ丁寧に盛りつけた。
「ミレ給食」が始まった当初から参加している名東支部の金英玉さん(65)は「1世の姿を見てきた私たち2、3世が次の世代にバトンを渡すためにできることはまだまだあるはず。現役のオモニ会とは違った形で学校事業に役立ちたい」と話しながら、同校に通う孫のためにもおいしい給食を作りたいと笑みを浮かべた。
東海知多支部の徐朝美さん(63)は、昨年4月に建てられた名古屋初級の新校舎に炊事室が完備されていたのを見て、「ミレ給食」のことが頭に思い浮かんだという。「孫がここの幼稚班に通うハルモニとなったが、まだやれることはある。名古屋初級がこれからも、子どもたちが入りたくなるような魅力のある学校になってほしい。そのために手伝えることがあれば積極的にサポートしたい」(徐さん)。
オモニ会OGたちが腕によりをかけて作った給食に舌鼓を打つ児童たち。「懐かしいオモニの味」に食欲も増し、「おかわりください!」と次々と児童たちがOGたちのもとへ駆け寄ってきた。
初級部6年生の児童たちは「なますともやしのナムルがおいしかった。たくさん食べて大きくなりたい」「とても美味しくておかわりをした。アボジ、オモニたちだけでなく、オモニ会OGの方々が私たちのために給食を作ってくれたその思いに応えて、これからもっと勉強を頑張りたい」と話した。
同校の李紗瑛教員は「児童たちにとって、普段接する機会のないオモニ会OGたちの方々の愛情を感じられるとてもいいきっかけになった。自分たちが知らないところで、たくさんの同胞たちが自分たちを思ってくれていることに改めて気づいたと思う。児童たちを一番に思う気持ちは世代を超えて受け継がれていると実感した」と語った。
名古屋初級オモニ会初代会長である名港支部の丁未穂さん(65)は「運営や児童数減少など学校の現状が厳しくなる中でもオモニ会OGたちが奮起し、『ミレ給食』を再開することができた。また名港支部では現在2カ月に1回、愛知中高の寄宿舎生を対象に手作りの弁当を作り独自の活動も展開している。今後はオモニ会OGたちで美化活動もしていきたい」と話した。そして、「子どもたちには、ウリハッキョのことを自分のことのように思い、愛せる大人になってほしいし、この新校舎を守っていけるような存在になってほしい」と児童たちへの思いを語った。
今年度の「ミレ給食」は今回を含め2回行われ、次回は2月に行われる予定だ。
(安鈴姫)