【連載】「消えない傷み～関東大震災朝鮮人虐殺100年・体験者の告白～」⑥

残忍極まる大虐殺の展開

関東大震災時の朝鮮人虐殺の市販写真（1923年9月7日）。ガソリンで焼かれた死体が折り重なり針金で縛られたままの人もいる。

1923年9月1日に発生したマグニチュード7.9の大地震は東京、埼玉、神奈川など関東一円を襲い、人々を混乱に陥れた。同日から巷では「朝鮮人が井戸に毒を入れた」「放火している」などの流言蜚語がまわりはじめる。当時、日本の政府、軍、警察が主体となり起こした「朝鮮人狩り」は、少なくとも6千600人以上の犠牲者を生んだとされているが、今日に至っても真相究明を拒む日本政府の姿勢は、犠牲者とその遺族、体験者らを苦しみに晒し続けている。

【連載】「消えない傷み～関東大震災朝鮮人虐殺100年・体験者の告白～」では100年前の関東大震災時にあった朝鮮人虐殺を目撃および体験した同胞たちの証言を、朝鮮大学校編『関東大震災における朝鮮人虐殺の真相と実態』（1963）から紹介していく。

金天海

震災のとき、私は本郷の本富士警察署の管内に住んでいて、九死に一生を得た1人である。負傷して悲鳴をあげる多数の同胞や、虐殺されて道路に死体がころがっている光景が今でも目に浮かんでくる。

血に飢えた狼のごとく、軍隊を先頭に在郷軍人、青年団、自警団という風なものが銃剣を振りかざし、あるいは竹槍、ビール瓶など、手当たりしだい凶器を持ち出して、多数の朝鮮人、中国人をはじめ、自国の革命運動者を銃殺、刺殺するなど、その虐殺をほしいままにした。その中でも最もひどかったのは、刀で眼玉を切り抜き、鼻や耳を切りとるなど、残忍をきわめた。あるいは妊婦の腹を突き刺して、その中の胎児を殺害するなど、あらゆる手段をもって惨虐の限りを尽くしておった。

こうしたテロは、関東一帯にわたって行われ、理由もなく無残に殺された朝鮮人はその数、6千数百人、中国人数百人で、負傷者を入れると数万人にのぼる。殺される原因は全くなんらの根拠理由もないのであって、一例をあげれば、

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