〈在日発、地球行・第3弾 5〉過去の希望と、今日の現実/モザンビーク
2023年10月17日 11:53 在日発、地球行過去の連載記事はこちらから▶︎ 在日発、地球行・〈第1弾〉、 〈第2弾〉
新たな社会の実現へ
首都マプトの中心部には金日成主席の名を冠した目抜き通りと、朝鮮の万寿台創作社が手がけたモザンビーク初代大統領サモラ・マシェルの銅像があった。これらは、冷戦期に反植民地主義、反帝国主義を掲げ、互いの闘争を支持した朝鮮とモザンビークの関係性を端的に表すものであった。
マプトでの散策を終え次に向かった先は、同国南部に位置する小さな町「トーフ」だ。トーフは人気のビーチリゾートで、南部アフリカでも有数のダイビングスポットとして知られている。しかし、モザンビークの交通インフラは依然として未整備の地域が多く、トーフへの交通手段は車しかない。仕方なく外国人観光客や現地の人々らと共に中型バンに乗り込み、目的地に向かった。
筆者が宿泊した安宿では、宿を切り盛りするモザンビーク人のサントスさんとその息子が出迎えてくれた。ポルトガル植民地の影響でモザンビークではポルトガル語が公用語になっているが、リゾート地とあって親子とは英語で会話することができた。観光のハイシーズンを過ぎており、コロナ禍の影響もあったため、宿泊客は筆者と米国人旅行者の2人のみだった。
サントスさんが受付で手持ち無沙汰そうにしていたので、しばし雑談に興じた。聞けば、宿のオーナーはポルトガル人で、地域の宿やレストランの多くがポルトガル資本によって建てられたものだという。「モザンビークは独立後もポルトガルと切っても切れない関係にある」。こう語ったサントスさんは、つづけて心情を吐露した。