【連載】光るやいのちの芽~ハンセン病文学と朝鮮人~⑫
2023年10月04日 09:00 歴史【連載】「光るやいのちの芽~ハンセン病文学と朝鮮人~」では、創作を通じ希望や連帯を希求し、抵抗としての文学活動を展開した朝鮮人元患者らの詩を復刊した詩集「いのちの芽」から紹介していく。(書き手の名前は詩集に掲載された日本名表示のママ)
多岐葉一 1928年横浜の商家に生まれる。1947年、国立療養所多磨全生園に入園。
都会
金属と
コンクリート ガラスの
ビルディングの谷間を
模倣真珠を飾った女が歩いている。
事務室の椅子には
黒びかりの牛革を足かせに
鉱物を着た文化人が座り。
パチンコ屋には
パチンコ玉を見るまなこがいっぱい。
まだバズーカ砲のにおいは消えないのに
ジャズに踊っている人々。
よどんだ浮浪者が
架橋線を見つめている。
足の安定を失い
コンクリートにおっかぶされた
頭、頭。
(おわり)