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【連載】光るやいのちの芽~ハンセン病文学と朝鮮人~⑪

2023年09月23日 11:30 歴史

今年2月から5月にかけて開催された企画展「ハンセン病文学の新生面 『いのちの芽』の詩人たち」

【連載】「光るやいのちの芽~ハンセン病文学と朝鮮人~」では、創作を通じ希望や連帯を希求し、抵抗としての文学活動を展開した朝鮮人元患者らの詩を復刊した詩集「いのちの芽」から紹介していく。(書き手の名前は詩集に掲載された日本名表示のママ)

奥二郎 1930年、神奈川県生まれ。40年に多磨全生園に入園。「灯泥」同人。

晴れた日

風の吹く日

暗鬱に沈みながら

柊垣の一本路を歩いていった。

 

空はさっぱりと晴れあがり

小鳥らは胸をはり

枝から枝へと

とびながら歌っていた。

 

一人の老婆が柊垣の外で

私をにらみつけた

 

私も老婆をにらみかえした

(お互いに

見たくもない自分を見たのだ)

 

柊の葉も

こんなにも

いじけて尖っている

(私の思想感情のように)

 

どこまで流されていったのだろうか

一片の雲が

北から南へ

ゆっくりと

うごいていった。

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