〈蹴球七日~同胞サッカー選手の足跡 21〉ガイナーレ鳥取・文仁柱選手
2023年09月22日 10:00 スポーツ飛躍を期すレフティー
J3・ガイナーレ鳥取に所属する文仁柱選手はプロ入り2年目の今季、リーグ戦27試合中25試合に出場(9月19日時点)し、充実のシーズンを送っている。最後までチームのために走るアグレッシブなレフティーは、同胞サッカー界をけん引する「ニューヒーロー」の頭角を表している。
代表で味わった悔しさ
4歳の頃、4つ上の兄の影響でボールを蹴るようになった。父にも度たび試合の観戦に連れられ、いつしかサッカーに没頭。プロサッカー選手になることは幼いころからの夢だった。言葉で言うのは簡単。甘い世界ではないだけに夢の実現に不安もあった。その夢に手が届くかもしれないと感じたのは朝鮮大学校サッカー部の頃だった。
Jリーグや強豪大学など、トップレベルのチームとの試合を経験し、プロと自身の差をわかったうえで夢は目標に変わった。大学2年の冬、大きなチャンスが舞い込む。AFC U23選手権2020のサッカー朝鮮代表に選出された。「国家代表はウリハッキョでサッカーをしていたら、一度は目指す場所。いざ選ばれると実感がわかなかった」が、大会が近づくにつれて、周囲からは期待や声援が増えた。「国家代表選手としてプレーすることで後輩たちに夢を与える影響力の大きさ、国を背負って戦うことの重みを実感した」。
しかし代表では苦しい日々を送った。怪我の影響もあり、試合に出場することができなかった。これまで初、中、高、大とすべてのカテゴリーにおいて、実力で試合に出られない経験を味わったことがなかっただけに、ベンチで歯を食いしばって試合を見守った。 「サッカーをしている以上、