〈関東大震災朝鮮人虐殺100年〉東弁主催シンポジウム/基調講演とパネルディスカッション
2023年09月15日 13:58 歴史共通認識を積み重ねて
関東大震災から100年に際し、東京弁護士会の弁護士らが企画したシンポジウム「関東大震災100年―記憶の虐殺に抗して―」。同シンポジウムでは、同志社大学の板垣竜太教授による基調講演に続き、パネルディスカッションが行われた。
「反復」に抗する記憶の闘い
「現代レイシズムと歴史の反復」と題して講演した板垣教授は、はじめに、関東大震災朝鮮人虐殺から100年目にして考えるべきこととして、「現代日本が虐殺を生み出した社会の歪みを克服しえているのか」と述べる一方で、当時の虐殺時の特徴を「現代レイシズムがいかに継承してしまっているか」と、参加者たちに問いかけた。そのうえで同氏は、100年前の状況と現代を繋ぎ合わせ、「ポストジェノサイド社会におけるレイシズム」について考察した。
板垣教授は、「加害の論理と関係性の継承」として、2011年の東日本大震災、21年のウトロ放火事件をとりまく状況を、関東大震災の反復例にあげた。
同氏は、『災害と外国人犯罪流言―関東大震災から東日本大震災まで』(郭基煥著、2023年、松籟社)にある仙台市民へのアンケート調査(16年調査、3区で782票回収)を紹介し、当時、略奪や窃盗、遺体の損壊など根拠のない外国人犯罪の流言を、51.6%の市民が耳にし、うち8割以上の人々がそれを信じたこと、大半が家族や交流のある地元住民を経路に拡散されていったと説明した。
また東日本大震災当時、流言をもとに組織された排外主義者らの「自警団」の特徴を踏まえ、関東大震災時のそれと比較すると、「流言飛語を事実とみなして行動し、流言のもとになる口コミの後ろに、情報のバックボーン(関東大震災:軍・警察の情報網と新聞、東日本大震災:マスコミとインターネット)があるという点で共通性がある」と指摘。さらに「反日」と「自衛」という論理で行為を正当化する点、「15円50銭」などと言わせ攻撃する対象とそうでない対象を、言語で識別した「『人種』なきレイシズム」の点でも共通性を見出した。
またウトロ放火事件については、重要な視点として、