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〈関東大震災朝鮮人虐殺100年〉群馬・成道寺などで慰霊祭

2023年09月11日 12:17 歴史

国家レベルの真相究明を

9日、群馬県藤岡市にある成道寺で慰霊祭が行われた

9日、群馬県藤岡市にある成道寺で、関東大震災朝鮮人犠牲者100周年慰霊祭が行われた。関東大震災100年・朝鮮人犠牲者慰霊諸行事実行委員会(以下、慰霊実行委)が主催したこの日の慰霊祭に、総聯群馬県本部の李和雨委員長を含む同胞や日本市民ら150余人が参加した。

1923年、9月1日、関東大震災が発生したその数日後、群馬県でも虐殺事件が起きた。藤岡町(現藤岡市)にあった藤岡警察署に「保護」されていた朝鮮人労働者17人が、流言飛語を耳にし、激高した自警団や住民らの手で虐殺された。「藤岡事件」と呼ばれるこの虐殺は、9月5~6日にかけて起こった。翌年6月、藤岡町の有志らが成道寺に朝鮮人犠牲者17人を埋葬し、墓地内に慰霊碑を建立した。

「藤岡事件」に関連する慰霊祭は、大震災の翌年から、藤岡町の主催で行われていたが、戦中戦後の時期に中断。57年に損傷した慰霊碑の再建と共に慰霊祭が復活したが、再び途切れることに。そして震災から70年をきっかけに、93年、日朝友好連帯群馬県民会議(県民会議)が慰霊祭を再開した。9日に行われた慰霊祭は、30回目の開催となった。今年の6月に発足した慰霊実行委には、県民会議に加え、総聯群馬県本部や群馬諸宗教者の集いなど、県内の20以上の団体が名を連ねた。

南側遺族会の権在益さんが発言した

慰霊祭では、慰霊実行委の小野文珖共同代表、藤岡市の塚本英夫企画部長、慰霊実行委の角田義一共同代表(県民会議代表)、総聯群馬県本部の李和雨委員長、南側遺族会の権在益さんが追悼の言葉を述べた。

「藤岡事件」で自身の祖父、南成奎さんを亡くした権在益さんは「日本政府は真相究明と謝罪、遺族への賠償を実現しなければならない」と糾弾し、韓国政府にも遺族の権利回復実現へ努めるよう強く要求していくと語った。

境内では、曺和仙さんによる朝鮮式鎮魂の舞、李政美さんによる慰霊・追悼歌が披露された。参加者たちは輪を作り、慰霊の舞を踊った。

朝鮮式鎮魂の舞を披露した曺和仙さん(右)

李政美さんが慰霊・追悼歌を捧げた

慰霊の舞を踊る参加者たち

参加者らは、成道寺墓地に建つ、「藤岡事件」の犠牲者が埋葬された朝鮮人犠牲者慰霊碑前で追悼を捧げた。

参加者たちは、成道寺の墓地に建てられた朝鮮人犠牲者慰霊碑前で、「藤岡事件」の犠牲者らに追悼を捧げた

同日午後には、25年に同県高崎市九品寺に建立された慰霊碑前で、自警団に虐殺された1人の朝鮮人青年を追悼する慰霊が行われた。九州初中高の児童、生徒が追悼の意を込め送った千羽鶴が供養された。

九品寺に建立された慰霊碑に、九州中高の生徒、学生たちから送られてきた千羽鶴が供養された

総聯群馬県本部はこれまで、県内の日本市民団体と共に、関東大震災朝鮮人虐殺犠牲者の追悼をはじめ、当時の虐殺に関連したさまざまな活動に携わってきた。95年からは、県内に住む日本人有志らと強制連行真相調査を始め、県立公園「群馬の森」(群馬県高崎市)の朝鮮人強制連行犠牲者追悼碑撤去に反対する裁判闘争を連帯者団体と共に推し進めるなど、群馬における朝鮮人の歴史や権利を守る運動を行ってきた。

慰霊祭当日、追悼のあいさつを述べた総聯群馬県本部の李和雨委員長は、「何十年に渡り、有志らと共に真相究明のための運動を続けてきた一方で、罪を認めない日本政府には憤りを感じる。今後も同胞、日本市民、南側遺族会の人々との連帯をより深め、歴史の事実を後世に伝えると同時に、日本政府への責任追及を進めていく」と語った。

追悼のあいさつをする総聯群馬県本部の李和雨委員長

この日、石川眞男さん(玉村町町長、70)と石川美佐江(67)さんは夫婦で参列した。石川眞男さんは「虐殺の歴史は、日本人こそ忘れてはならないものだ。真の日朝友好のためにも、正しい歴史認識を市民が養っていければ」と語った。石川美佐江さんは「朝鮮学校の子どもたちが、朝鮮人であることに誇りを持てるような社会にするためにも、出来ることを尽くしたい」と話した。

  (朴忠信)

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