後退する日本の歴史認識/河野談話発表から30 年
2023年08月21日 11:44 歴史軍と官憲による日本軍性奴隷制の強制性を認めた「河野談話」の発表(1993年8月4日)から30年を迎え、日本の歴史修正主義によって河野談話の形骸化が進んでいることに懸念が高まっている。日本における歴史認識の後退過程と背景を、日本軍性奴隷制問題解決に取り組む日本や南朝鮮の識者の見解を示しながら捉え直す。識者たちの見解は、日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯(正義連)、日本軍「慰安婦研究会」、日韓歴史正義平和共同行動が共催したオンラインシンポジウム(8月2日)での発言を参照した。
日本政府の二枚舌
慰安婦関係調査結果発表に関する河野内閣官房長官談話(河野談話)は日本政府自らの調査に基づき、日本軍と官憲の関与、被害者本人の意思に反した募集・移送・管理、軍「慰安所」内での強制性を認め、再発防止のための歴史研究と歴史教育を行っていく意志を表明した点で意義を持つ。しかし、「関与」というあいまいな表現を使用することによって加害の主体を明確に示さなかった点、体系だった真相究明、法的賠償や責任者処罰については立場を表明しなかった点で限界がある。
河野談話の発表から30年を迎え識者たちがとりわけ問題視している点は、日本政府が河野談話を継承すると言いながら、さまざまな論法を用いて強制連行や性奴隷制を事実上否定してきたこと、つまり日本政府の二枚舌である。