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〈関東大震災朝鮮人虐殺100年〉 虐殺事実を認めない、一貫した態度

2023年07月06日 08:36 歴史

第2回学習会、政府答弁への指摘

追悼事業実行委が主催した第2回学習会

6月28日、都内で行われた関東大震災朝鮮人虐殺と関連する学習会(主催=「関東大震災朝鮮人虐殺100年―虐殺犠牲者の追悼と責任追及の行動」実行委員会)では、約160人が参加する中、専修大学の田中正敬教授が講演した。

登壇した田中教授は、講演に先立ち、昨今の国会で行われた2つの質疑について言及した。

この質疑とは、関東大震災時の朝鮮人虐殺を巡って行われた5月23日の杉尾秀哉議員(参議院内閣委員会)によるもの、そして先月15日の福島みずほ議員(参議院法務委員会)によるものを示しており、田中教授は「(虐殺に対する)日本政府の認識と現状を確認するため」として、杉尾議員の質疑の様子を映像で流した。

杉尾議員は、昨年12月6日に国会へ提出した質問主意書の中で、当時虐殺された朝鮮人の遺骨に関する政府の「処置」を記した公文書・朝鮮総督府警務局「関東地方震災の朝鮮に及ぼしたる状況」(斎藤実関係文書目録・書類の部一・144頁。国立国会図書館憲政資料室所蔵)をめぐって、文書が存在することへの認否と政府見解を問うた。

前述の公文書では、「極秘 震災当時ニ於ケル不逞鮮人ノ行動及被殺鮮人ノ数之ニ対スル処置」として、▼遺骨が朝鮮人だと判明しないように処置すること、▼虐殺などの起訴事件については朝鮮人に被害がある場合、すぐにその遺骨を不明の程度に始末すること―といった記述がある。杉尾議員の質問主意書では、これらに言及しながら、「日本政府が『被殺者』である朝鮮人被害者の特定を困難にさせようとしていたのは明らか」であり、なぜそうした方針をとったのか、現政府の認識を追求していた。

同月16日付で出された政府の答弁書には、杉尾議員が指摘した公文書は「政府として確認しておらず」、また、文書にある当時の「処置」についても、「調査した限り、政府内にそれらの事実関係を把握することのできる記録が見当たらない」ため、見解を示すのは困難だとの政府回答が明記されている。

講演した田中正敬教授

田中教授は、同文書は誰でもアクセス可能だと指摘しながら、文書の一部を参加者らにみせた。そのうえで「いまみなさんがみている資料を政府は確認できないと言っている。これはもはや誠意のない答弁ではなく虚偽ではないのか」と強く非難した。さらに同氏は「こちらが求めているのは内容の評価よりも、虐殺が事実か否かを確認することだ。政府は評価できないという言い方で逃げている」と指摘。杉尾議員の質問に対する政府答弁として、谷公一・国家公安委員長が、一般論だと前置きしながら「過去の大災害における流言飛語への対応については、歴史から謙虚に学ぶ」とした点について「虐殺の問題には触れない。ではどの歴史に謙虚に学ぶというのか」と、記録の存在つまり虐殺を認めない政府の姿勢が改めてあらわになったと話した。

なぜ朝鮮人だったのか

講演ではまた、

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