〈今月の映画紹介〉大地よ／金大偉監督

アイヌとして生きる

「今月の映画紹介」では、上映中または近日公開予定の注目映画を、月に1度、紹介します。

(c)藤原書店提供

北海道、樺太や千島で生活を営んで来た先住民族のアイヌ。1899年から約100年もの間、「北海道旧土人保護法」により、日本政府に同化を押し付けられてきた。

本作は、宇梶静江(90)という1人のアイヌ人女性を通じ、アイヌ民族の精神と魂の原点を探るドキュメント映像詩。

1933年3月3日、宇梶静江は北海道浦河郡のアイヌ民族の部落で生まれた。アイヌ民族の復権、解放運動史の先駆者とも呼ばれる宇梶は、詩人としてアイヌ民族の存在を世に広め、｢古布絵｣(アイヌ伝統の文様刺繍と布絵を組み合わせたもの)を用いて、民族の誇りを表現してきた。