【特集】朝鮮の小説『友』和訳出版/ペク・ナムリョン特別インタビュー
2023年06月04日 08:36 共和国“朝鮮社会の一端、まっすぐ見つめて”
1988年に朝鮮の文学芸術出版社から発行された中編小説『友』がこのほど小学館から和訳出版された。今回の和訳出版は、朝鮮と国交のない日本の出版社が、朝鮮側に翻訳出版の権利を得たうえで解説も含めたアプルーバルも経て朝鮮の文学作品を出版した点で稀有であり、貴重な機会だといえる。翻訳出版に際して本紙では、出版にかかわった朝・日の関係者を取材、2回にわたって特集する。第1回は本紙平壌支局による、『友』の著者である4・15文学創作団のペク・ナムリョンさん(73)へのインタビューを掲載する。
―『友』が日本で出版されたことについて。
まずは私の小説を日本語で生き生きと翻訳するために尽力された和田とも美先生、出版に向けて惜しみない努力を傾けた小学館とコリアメディアの関係者各位に心からの感謝の意を表したい。
私たちの同胞である在日同胞が多く暮らし、小林多喜二や石川啄木など、人間としての正義感と良心を描き出した作家たちを生み出した隣国である日本で『友』が出版されたことで、打算や物質的利害関係ではなく、純粋かつ真の愛で結ばれる結婚、朽ちることのない愛が長く続く結婚生活をもっとも美しいと見なす私の素朴な倫理観が日本の読者にも伝わると思うと、喜びを禁じえない。
―日本の市民たちに作品をどのように読んでほしいか。